ドライバーの勤怠管理のコツとは?|実例付きで解説

運送業界向け

「配車計画を見直したい」「片荷輸送を解消したい」ドライバーの勤怠管理は、法令遵守や給与計算のほか、このような事業課題に取り組む上でも重要な業務です。しかしアバウトな勤怠管理を行っている事業者は少なくありません。この記事では、ドライバーの勤怠管理のポイント解説とあわせ、弊社親会社である運送会社(福岡)の勤怠管理の実例をご紹介します。

アバウトな勤怠管理を放置すべきでない理由

ドライバーの勤怠管理を厳密・適正に行えている事業者は、意外と少ないです。ドライバーの勤務体系は複雑で長距離運行(1泊2日など)も多く、管理面で仕方なくといえば仕方ありませんが、だからといってそれを放置すべきでない理由があります。

法令遵守による信用維持のため

2024年4月~、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されるようになります。事業者側は、ドライバー1人当たりの残業時間が年960時間以下になるよう、全ドライバーの勤怠状況を把握・管理しなければなりません。企業コンプライアンスを監視する社会の目も厳しくなっており、事業継続のためには、企業内外からの信用維持・向上が不可欠です。

正しい給与支払いのため

給与計算では通常、法定労働時間と36協定に準じた時間外労働時間を区別して管理します。さらに運送業界においては、拘束時間、休憩・休息時間など独自の勤怠概念が加わります。これらをきちんと管理しておかないと、意図しない残業代未払いの発生や、逆に不正な残業代請求が起こる恐れがあるのです。また正確な勤怠情報収集は、ドライバーの諸手当を正しく計算することにも繋がります。

収益改善するため

運送会社において“収益改善手法”というと車輌原価管理ですが、ドライバーの勤怠状況を正しく把握することも同じくらい重要です。なぜなら「配車計画を見直す」「片荷輸送を解消する」といった事業改善のためには、そもそも車輌(ドライバー)が日頃どのような動きをしているのか、現状把握が必要だからです。ドライバーの勤怠管理は、収益改善のファーストステップと言ってよいでしょう。

勤怠管理で押さえるべきポイントと、対応策

ドライバーの勤怠管理を厳密・適正に行うために、押さえておきたいポイントは以下の3つです。対応策とあわせて解説していきます。

乗務実態の把握→デジタコ連動で対応

ドライバーの勤怠については、出退勤記録のほか運転時間や荷役作業、休憩時間など、あらゆる作業実態を把握しておかなければなりません。運行指示の時点で粗方計画されてはいますが、道路状況や荷待ち時間の発生などで、指示どおり運行できることは少ないかと思います。乗務実績は運転日報に記録することになりますが、帰庫後のドライバーは長い乗務で疲労困憊です。「だいたいこれくらいの時間だった」のような大雑把な自己申告になりやすく、勤怠記録の精度担保は難しいでしょう。

≪対応策≫
デジタコ(運行管理システム)と勤怠管理システムをデータ連携します。ドライバーは休憩や荷役作業の都度デジタコに作業登録するので、「だいたいこれくらいだったかな」というアバウトな自己申告は無くなります。記入間違いや不正な乗務実績申告も起こりづらいでしょう。デジタコ操作は所詮ドライバーの手によるものなので、もっと厳格に管理したい場合は、GPS対応型デジタコを使う方法もあります。※ただしこれは“常時監視します”という表明なので導入は慎重に!

打刻場所が事務所とは限らない→スマホ活用を

通常、出退勤記録はタイムカードなどによる打刻で行います。しかし長距離運行などでは運行管理者と顔を合わせることが出来ないケースもあり、その場合は打刻ができません。運行管理者による遠隔点呼(電話点呼、IT点呼)で代理打刻/システム打刻をすることもできますが、点呼のタイミングによっては正しい勤怠記録がとれないことも考えられます。

≪対応策≫
点呼時間=出退勤時間とする運用であれば、遠隔地でドライバー自身が登録した乗務開始や乗務終了/休息のデジタコ記録を、デジタコシステム→勤怠システムに連携します。クラウドタイプのデジタコシステムなら、スマホ対応しているものも多いです。これならリアルタイムで出退勤打刻ができるため、後追い打刻がなくなり、管理者側も遠隔地にいるドライバーの勤怠を把握しやすくなるでしょう。

法改正への対応→専用ソフトを検討する

ドライバー業は労働に関する法改正が頻繁に発生する業種のひとつで、ドライバーの労務管理を担う運行管理者や総務担当者の負担は少なくありません。法改正のたびに内容を頭に叩き込み、賃金計算や勤怠・労務管理の仕組みを見直す必要があるからです。人材の融通がききづらく、一度担当者が辞めてしまうと、後任者が見つからずに勤怠管理が疎かになる恐れもあります。

≪対応策≫
運送業界に知見のあるベンダーが開発したシステム/パッケージを選ぶのが一番良いです。ドライバーの勤務体系は複雑なので、Excelや一般企業向けの勤怠システムではどうしても無理が生じ、機能カスタマイズを入れて対応することになります。専門的な知見のあるベンダーなら、法改正で機能改修が発生する場合にはスムーズに対応してもらえるでしょう。

実例:弊社親会社(福岡の運送会社)の勤怠管理

ここからは、ある福岡の運送会社(弊社の親会社にあたります)の勤怠管理の実例をご紹介します。他社ではどんな勤怠管理を行っているのか、一例としてぜひご参考にされてください。

IT点呼システムを出退勤管理に活用

弊社親会社では勤怠管理の合理化を図るため、「乗務前/乗務後の点呼時間=出退勤時間」とする勤務ルールを定めています。あわせてIT点呼を導入し、出退勤時間については点呼システムからデジタル運転日報へデータ連携される仕組みです。指の静脈認証に対応しているため、パネルタッチするだけでドライバーを区別するほか、事務職や乗務しない日のドライバーは静脈認証による出退勤登録を行っています。

デジタコ連携で乗務記録を自動取得

弊社親会社では、GPS対応のデジタコを全車輌に導入済。乗務記録は位置情報と一緒に記録され、帰庫したらデジタコの帰庫ボタンを押して、乗務記録をパソコンの運行管理システム(デジタル運転日報)に取り込みます。運転日報への乗務/作業時間の手入力はなく、運行指示の内容と同期しているため入力間違いや漏れの心配がありません。乗務後の残業時間短縮にも繋がっています。

デジタル運転日報から勤怠システムへ、データ連携

出退勤や乗務作業の記録は、点呼システムやデジタコから日報システムへと連携される仕組みです。日報システムと勤怠管理ソフト(就業奉行を使用)を連携させることで、ドライバー・事務職を含む全従業員の勤怠を一元管理しています。尚、給与管理には同メーカーの給与ソフト(給与奉行)を使用。諸手当の計算については、日報の運賃区分ごとに手当種類を設定して自動算出しています。

さいごに

ドライバーの勤怠・労務管理に課題を感じている場合、デジタコシステムと日報・勤怠管理システムをデータ連携することで、業務不合理を飛躍的に改善することができます。デジタコ連携で得られるメリットは、事務業務の時短だけでなく、勤怠のデータ精度が上がることでスピード改善に繋げやすくなることです。未導入の事業者さまにはお勧めの施策ですので、是非ご検討頂ければと思います。

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