092-771-5176

SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|海陸複合輸送の登場人物と全体の流れ

SL大学2024.11.26

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

海陸複合輸送に関わる運送会社様は少なくないため、登場人物の役割分担や全体の流れをザックリまとめます。

海陸 複合輸送の登場人物をおさらい

長距離輸送では、集配にはトラック便を使い、幹線輸送には船/飛行機/鉄道を利用する「複合輸送」という方法がよく取られます。今回は、当社システム開発でも触れることの多い海陸の複合輸送について理解を深めるため、まずは登場人物を整理します。

■荷主
運賃を支払い、輸送サービスを受ける人/会社。発荷主と着荷主が別な場合もある(どちらかが運賃を支払う)。
■複合一貫輸送事業者
荷主から荷物の輸送依頼を受ける業者。トラック輸送網に加えて、幹線運送手段(自グループの船会社など)を保有していることも多く、長距離輸送をワンストップで受託できるのが強み。
■港湾運送事業者
船積み貨物の積み降ろし(港湾荷役)や一時保管等を行う業者で、「港湾運送事業法」に基づく事業許可制。通関事業や利用運送事業を行っているケースも多い。
■海運事業者(船会社)
船舶(貨物船や旅客フェリー)を保有・運行し、港から港へ、荷物を幹線輸送する業者。港湾荷役や輸出入時の通関業務を、港湾運送事業者に依頼するケースも多い。
■一般貨物自動車運送事業者(トラック運送会社)
トラックや輸送ルートを保有し、荷主や、複合一貫輸送業者/港湾運送業者から輸送依頼を受けて、乗船港/下船港~積み降ろし地の間を陸送する業者。

福岡市内→東京都内の海陸複合輸送の例

①荷主からの輸送依頼と集荷(複合一貫輸送業者)

複合一貫輸送業者は、荷主からFAXなどで長距離の輸送依頼を受けると、「どの船会社のどの船便に乗せるか」や「どのように集荷/配送するか」などを計画します。集荷の形は様々で、荷主側で輸送用コンテナへの積み付け(バンニング)済みのものをトレーラー車で引き取ることもあれば、​荷物だけが搬入されて輸送業者側でバンニングすることもあります(小口受付など)。必要に応じて集荷/配送のトラック便も手配します。諸々の計画を立てたのち、荷主に船便の情報や輸送料などを連絡する流れが一般的です。​

②乗船港での港湾荷役(港湾運送業者)

①で集荷された荷物が、港湾運送業者に引き渡されます。乗船日まで日にちがある場合はコンテナヤード(CY)に一時保管され、乗船日当日に港湾荷役が行われます。港湾荷役では、トップリフターなどの機械を使ってコンテナトレーラーからコンテナを降ろしたり、ガントリークレーンを使って貨物船にコンテナを乗せる作業が発生します。港湾運送業者はこれらの作業実績を取り、依頼を受けた複合一貫輸送業者などにコンテナ保管料や乗船荷役料(※船内荷役/沿岸荷役に区別される)を請求する流れです。

③乗船港→下船港への幹線輸送(船社)

貨物船やフェリーなどを運航する海運業者(船社)が、港から港へ、荷物の幹線輸送を行います。この際に航送料が発生するほか、船内荷役を船社で担うケースでは、船内荷役料も複合一貫輸送業者などの依頼主に請求される流れです(航送料に含まれるパターンもある)。船社が、船内荷役を港湾運送業者に外注するケースも多々見受けられます。

④下船港での港湾荷役(港湾運送業者)

乗船港での港湾荷役(②)と同じように、下船港の港湾運送業者がコンテナ荷降ろしやCYでの一時保管業務などを行います(※コンテナNoで管理)。ここでも作業実績が取られ、下船荷役料やコンテナ保管料が複合一貫輸送業者などの依頼主に請求されます。尚、混載コンテナなどはCFSと呼ばれる貨物上屋(倉庫の1形態)で、港湾運送業者がデバンニング(コンテナからの荷卸し)とパレット積み付け作業~一時保管を行うケースもあります。

⑤下船港からのトラック配送(運送業者)

運送業者は予め複合一貫輸送業者などから依頼を受け、指定された日に、下船港のCYやCFS倉庫までコンテナや荷物を引取りに行きます。RORO船でシャーシごとコンテナが運ばれてきた場合はトレーラーヘッドだけで引取りに向かい、コンテナだけが運ばれてきた場合は空シャーシで引取りに向かい、デバンニングされた荷物であれば通常のトラックで引取りに向かいます。運送業者はこのあたりの事前情報をもとに配車計画を立てなければなりません。そして最終目的地まで配送後、配送料を依頼主に請求する流れです。


≫関連ノート:複合一貫輸送の基礎知識をざっくりと
≫関連ノート:複合一貫輸送のシステム対応のポイント
≫関連ノート: