こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。
工業部品などの小物商品を取り扱う倉庫を自動化する場合に、考えるべきポイントをまとめます。
パレット搬送か、棚搬送か、コンテナ搬送か
倉庫を自動化する場合、一昔前は「自動倉庫」の導入が大多数の選択肢でした。しかし様々な倉庫自動化用のロボットが開発されることで、多様な選択肢をとることが出来るようになりました。ロボットを導入するにあたり、在庫する品目の荷姿や特性、物量、作業者の性質を考慮して、実現方法を検討する必要があります。ケースで在庫しそのまま出荷するような場合は、AGFやGTPでパレット毎移動させる方法が候補として考えられます。逆に多品目をバラ出荷するような場合はGTPでの棚搬送やシャトル式自動倉庫でコンテナ搬送を自動化することが有効です。
特に通販業等の台頭で小ロット出荷が増えたこともあり、バラ出荷の効率化への期待が高まっています。従来のピッキングで行われていた、「指示された棚への移動」→「ピッキング(検品)」→「仕分け / 荷揃え」のうち、指示された棚への移動と仕分け/荷揃えを自動化することで、効率化を図ります。
今回は「指示された棚への移動」を自動化する仕組みについて触れます。
※尚、カートが作業者を自動追従し従来業務を行うパターンもありますが、今回は割愛します
倉庫内に作業者が待機する「ピッキングステーション」を設けて、ピッカーが歩く(動く)業務からピッカーの前にモノが届く業務に変更します。
GTPでの棚搬送
中量棚などに商品を保管し、その棚ごとGTPが持ち上げて、ステーションまで搬送します。ステーションにピッキングする間口、商品、数量等を表示し、指示に従ってピッカーがピッキングします。ステーションに据え置く端末やハンディターミナルでの検品が一般的です。メリットとしては、棚とロボットを導入すれば良いので拡張が容易く、業務内容の変更に伴う見直し時の負荷が低減出来ます。その反面、GTPが運べる重量や棚の高さには限界がありますので、保管効率という面で不利になりやすい方法です。
シャトル式自動倉庫
シャトル式自動倉庫は、コンテナ(専用の場合が多い)に商品を格納し、立体駐車場の様に、棚(これも専用の場合が多い)に保管します。ロボットはコンテナ一つを運べば良いので、高速に稼働することができ、GTPでの棚搬送と比較し、スループットが出やすい仕組みです。しかし、コンテナのサイズが固定なため、格納出来る品目に制限が出やすく、また大きなロットの出庫には向きません。また、大型の施設を導入することになるため、コストや柔軟性に難点がある場合が多いです。
ピッキングステーションでのミス防止
ピッキングステーションでの出荷作業は、搬送ロボットが持ってきた棚やコンテナから、指示された数量を人の手でピックするイメージです。ここで気にしておきたいのは、ピッキング後(=ロボットへの帰庫命令後)にミスに気づいた場合、該当商品を再度ステーションまで搬送するのに時間が掛かってしまう点です。
このため、自動倉庫を導入した場合でも、ピッキングステーションではハンディ検品を組み合わせて運用することがよくあります(アイテムごとに検品が終わる都度、ロボットに帰庫命令を出すイメージ)。しかし、ステーションにはロボットの待ち行列が出来るので、素早くピッキングしないと折角自動化で得た生産性を犠牲にすることになってしまいます。効率良く品質担保する仕組みの導入は倉庫自動化に置いて重要なファクターです。
庫内全体の物流フローを止めない設計
自動倉庫では、入荷もピッキングステーションが起点となります。機械式ラックと搬送ロボットがそれぞれに入出荷の動きを行うため、しっかりとした交通整理が必要です。
システム的観点では「入荷ロボットと出荷ロボットがバッティングしたとき用に出荷優先のプログラムを組む」といったことや、運用的観点では「入荷/出荷でピッキングステーションを分ける」「入荷後すぐに出荷する場合の業務プロセス」といった事前設計が重要になってきます。
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