自社の販売管理システムを別製品に入れ替える場合、「パッケージのカスタマイズ費用はできるだけ抑えたい」という事業者様がほとんどかと思います。食肉業界では、販売管理であれ在庫管理であれ、パッケージをカスタマイズなしで導入できたケースをほとんど見かけたことがありません。この記事では、食肉卸業者がどうすればカスタマイズ費用を抑え、コスパ良く自社業務に合うパッケージを導入できるのかを解説していきます。
目次
パッケージカスタマイズの失敗例
①カスタマイズしたのに使っていない
食肉卸に関わらず、パッケージカスタマイズは本質を見誤ると失敗します。話を分かりやすくするために、まずは「パッケージカスタマイズをして成功だった例」を考えてみましょう。
■ 自社独自の集計表をカスタマイズで作ってもらい、ほぼ毎日使っている
■ ある画面にカスタマイズで追加した入力項目を、実務で頻繁に入力・閲覧している
■ 上記により、業務の生産性が上がっている
上記の表現をひっくり返したのが、パッケージカスタマイズが失敗した例です。「カスタマイズ開発してもらったけど結局その機能を誰も使っていない」というのは、案外存在します。タダでカスタマイズしてもらったのなら兎も角、基本的にはカスタマイズには費用が発生するものなので、導入時に無用なコストがかかってしまった例です。
②カスタマイズにより業務処理が複雑化した
「入荷」「受注」「伝票発行」など、各業務を切り取ってそれぞれで必要なカスタマイズを洗い出して実装すると、別の業務で支障が出ることがあります。よくあるのは、「データ修正の柔軟性を優先した結果、管理者側で使用する帳票の見え方が複雑になり、現場への確認作業が発生する」といったケースです。各業務ごとに担当者が異なり、それぞれで「やり易いやり方」を追求してしまったがゆえに発生します。
カスタマイズ費用を抑えるためのパッケージの選び方
食肉業界用のパッケージソフトを選ぶ
食肉卸であれば、「個体識別番号が入力できる」「賞味期限データを実物にあわせて修正できる」「納品伝票にケース数を表示する」など、『これを満たさないと使えない』という要件があると思います。であれば、最初からそのような入力項目・機能仕様を持つパッケージを選ぶのがベストです。とはいえ、そのような要件を全画面・全帳票で列挙しだすとキリがないため、食肉卸の場合は業界専用のパッケージソフトを選ぶことが第一ステップとなります。
自社業務に近い業者への導入実績を確認する
パッケージソフトとは、そのベンダーが多様なお客様に導入するなかで様々な意見が盛り込まれ、磨かれていくものです(いわゆる「ベストプラクティス」)。食肉卸への導入実績が多いパッケージなら、食肉卸が必要とする機能要件はある程度満たされている可能性が高まります。ただし、ひとことに “食肉卸” と言っても業態(取り扱う畜種や製造形態など)は事業者ごとに様々です。業態が違えば業務の勝手も異なりますから、できるだけ自社に近い業務内容の会社に導入実績があると、そのパッケージは「自社にとってのベストプラクティス」な機能を持っている可能性があります。
カスタマイズは思っている以上に費用がかかる
カスタマイズ費用を抑えるための根本的な考え方は、「もともと自社業務にフィットする部分が多いパッケージを選ぶ」ことです。
たとえば入力画面に「賞味期限」の項目をカスタマイズ追加しようとすると、一見、入力画面を少し変更するだけのように感じますが、在庫情報の項目に賞味期限を追加したり、出力する帳票に賞味期限を表示するためにレイアウトを変えたりと、システムの変更箇所は入力画面だけに留まりません。システムを変更するとベンダーは動作テストをしなければならず、そのような作業工数が積み重なってカスタマイズ費用が膨らんでいきます。だからこそ自社にとって必要な機能がもともとどの程度備わっているかの精査が、カスタマイズ費用を抑えるカギなのです。
カスタマイズ要望の取捨選択の仕方
フィットするパッケージを選んでも、カスタマイズは発生する
自社に最もフィットするパッケージを選んでも、多かれ少なかれカスタマイズは必要になります。
たとえば自社が受注加工して出荷する業務パターンだった場合、同じ業態の事業者が使っているようなパッケージであれば、受注データをもとに加工指示書や出荷指示書を出力するような機能はあるでしょう。しかし「在庫がある場合は在庫から出す」「注文を受けてから他社に発注する」といった細かい部分で、どうしても事業者ごとに業務フローの違いが出てきます。これはそのままシステム仕様の違いとなり(在庫機能との連携、発注機能の追加など)、カスタマイズ対象となってくるのです。
カスタマイズの落とし穴:要望は無限に出てくる
上述したように、パッケージ導入する際には既存機能の業務フローと微妙に異なる部分が必ず存在するため、業務ヒアリングを通してそこを明らかにしなければなりません。私たちベンダーは、この作業のことを「Fit&Gap(フィット・アンド・ギャップ)」と呼んでいます。基幹業務パッケージを導入したことのある事業者様は、少なからずそのようなお打ち合わせにご対応いただいたことがあると思います。
どのお客様とのお打ち合わせを思い返しても、「この帳票は必須」「この情報項目もできれば管理したい」というご要望はたくさん出てくるものです。その背景には、いまのシステムではできないこと、いまのシステムの使い勝手が良くて新システムもそれに合わせたいなど、様々な思いや事情があります。ですがこれらをうまく取捨選択していかないと、カスタマイズ範囲と費用はどんどん膨れ上がってしまいます。
やりたいことをうまく取捨選択するには
カスタマイズ範囲をうまく取捨選択できないとどうなるのか。それが、冒頭でご紹介した「カスタマイズしたのに使っていない」「カスタマイズしたことで業務処理が煩雑化した」というカスタマイズ失敗です。
たとえばパッケージにない帳票を新しく作る要望があったとして、その帳票を使いたい人が特定の1人だった場合、その人が自分の業務を見直したりして帳票の必要性がなくなった、といったケースがあります(カスタマイズしたのに使っていない例)。また在庫の保管場所を見える化したいからと倉庫ロケーション(棚番情報)を項目追加した場合、ちょっと在庫場所を移動させるのにロケーションの変更処理が必要になった、ということも起こりえます(カスタマイズしたことで業務処理が煩雑化した例)。
カスタマイズしたい項目が大量にあって取捨選択するには、その機能を使う人・使う業務だけでなく、全体の合理性を判断する大局的な視点を持つことが大切です。
まとめ
販売管理システムの入れ替えでは、カスタマイズ費用を抑えるために「できるだけ自社業務に合ったパッケージを選ぶこと」が重要になります。特に食肉卸業界では独自要件が多く、完全にカスタマイズ不要な導入はほとんどありません。そのため、業界向けパッケージや自社と近い業態への導入実績が豊富な製品を選ぶことが成功の近道となります。
また、カスタマイズ要望は際限なく増えがちですが、本当に必要な機能か、全体の業務効率向上につながるかという視点で取捨選択することが大切です。個別最適ではなく全体最適を意識することで、無駄な開発費用や運用上の負担を抑えながら、自社に最適なシステム導入を実現できます。














