食肉卸売業向けパッケージと、一般のパッケージの違い

食肉業界向け

食肉卸売業者の基幹システムは、小規模であれば一般業種向けの販売管理パッケージを使うケースが多いですが、事業規模が拡大すると業務に無理が生じるようになり「食肉業界専用パッケージ」を検討することになります。一般のパッケージと食肉パッケージでは、具体的に何が異なるのか。本記事では、デイリー業務の入力機能を中心に、その違いを解説します。システム見直し時の参考にして頂ければ幸いです。

商品入力方法の違い

たとえば国産牛を取り扱う食肉卸にとっての「商品」は、「宮崎産 黒毛和種 まえずね」や「北海道産 交雑牛 8分割肩ロース」などのとおり、部位名以外に様々な属性情報が含まれます。輸入肉についても、「チャックロール」という部位名に原産国名や規格などがくっついて1商品となります。取引の都度これらの情報をシステム入力していきますが、食肉パッケージでは入力方法に違いが出ます。

一般パッケージの商品入力方法

一般業種向けの販売管理パッケージでは、下記のように取引する固有商品ごとに商品コードを割り当て、商品コードを指定しながら伝票入力を行います。

商品コード00001 北海道産 交雑牛 8分割肩ロース
商品コード00002 岩手産 交雑牛 8分割肩ロース
※実際はこのような単純な連番ではなく、先頭2桁が原産地、次の1桁が畜種…のように付番ルールを設けるパターンが多い

このやり方で問題になりやすいのが、商品一覧をパッと見たときに違いが区別しにくいこと、それによる入力ミスや、マスター管理が煩雑化しやすくなる点などです。食肉製品は同じ品名(部位名)で産地、ブランド、規格違いなどの組み合わせパターンが様々発生するため、商品コード件数が数千件単位になることもあります。

食肉パッケージの商品入力方法

産地や規格などの情報を商品コードから切り離し、伝票入力時に商品コード+産地コード+規格コードなどと指定する形で伝票入力を行います。これを最も細分化したパターンだと、下記のような入力イメージになります。

食肉管理システムsuperBPC入荷入力画面

上記の例では畜種やブランド・産地などをそれぞれマスタ管理して、その組み合わせで1商品を形づくるため、新しい組み合わせができたからといって新しく商品コードを採番する必要がありません。また、入力された仕入伝票や売上伝票をもとに実績集計を行う際、これらのコードを指定して集計できるようになるため、多角的に実績データ分析が行えるのもメリットです。

ただし伝票入力時の入力項目が増えるデメリットがあるため、入力を省略する方法として、入荷予定データ活用(国産牛の計量実績データ連携など)や、在庫ラベルによるバーコード管理(出荷時はバーコードスキャンだけ)がよく使われます。

一般パッケージ式×食肉パッケージ式(ハイブリッド型)

上記ほど商品属性を細分化管理する必要もない食肉卸業者の場合は、ほぼ一般パッケージと同じ商品入力方法でありながら、一部の商品属性(温度帯や規格など)だけを別コード管理とするようなパッケージもあります。自社の取扱い商品ラインナップに応じたカスタマイズ性があると尚良いでしょう。

また食肉業界専用パッケージなので、商品マスタには畜種やブランドなどの属性項目を設定できるケースが多く、上記と同じように「多角的な実績データ分析」が可能であったりします。

数量入力方法の違い

食肉卸売業者が「数量情報」を必要とする場面は大きく2つあります。1つは受発注や物流業務(入出荷数や在庫カウントなど)で数を指示・確認するとき、もう1つは伝票作成業務において数量×単価で金額計算するときです。不定貫品を取り扱う食肉業界では、前者で「1ケース」や「1本」などと数えながら、後者では「kg(重量)」を取り扱うという特徴があります。

一般パッケージの数量入力方法

「1ケース」「1本」「1パック」など荷姿の単位で単価設定されるような定貫品であれば、この単位で伝票入力することで、金額計算も在庫数の把握も問題なく行えます。しかし取引時にkg単価とする不定貫品の場合、仕入伝票や売上伝票入力時はkg数量を登録しなければなりません。

金額計算はそれで良いですが、在庫数もすべてkg表示されることになるため、在庫が何ケースあるか分からない状態で実務が行いにくくなるという不都合が生じます。そのため、一般業種向けパッケージを利用する事業者様では、在庫を別途Excel管理するケースが多いように思います。

食肉パッケージの数量入力方法

食肉パッケージでは、受発注や物流業務で使う「荷姿の単位」と、仕入/売上金額の計算に使う「単価設定の単位」の両方の数量入力を行います。具体的にどのような入力画面になるかというと、下記画像のようなイメージです(弊社の食肉管理パッケージ「smartBPC」の入力画面)。

食肉管理システムsmartBPC入荷入力画面

smartBPCの場合、【ケース数】に荷姿の数を入力し、【数量/重量】に金額計算のための数量を入力する仕様となっています。ちなみに荷姿単位で単価設定している定貫品については、【ケース数】と【数量/重量】には同じ値が入ることになります。

補足として、出荷時の重量入力は、ピッキング・荷揃えした商品の重量を現場がメモしてそれをもとに事務所で伝票入力する運用が一般的ですが、食肉パッケージではハンディターミナルと製品ラベルを使って出荷現場で重量入力作業を行う方法がよくとられます。

在庫計上方法の違い

受注時に在庫の残りを確認したり、長く売れ残っている商品がないか確認するのに必要になるのが「帳簿在庫」ですが、一般パッケージと食肉パッケージでは、帳簿在庫を増減させるプロセスに違いが出るケースがあります。

一般パッケージの在庫計上方法

多くの販売管理パッケージでは、仕入伝票入力により在庫を計上し、売上伝票入力で在庫を引き落とします。この仕様が不都合となりやすいのが、たとえば「商品は手元に届いたのに仕入伝票が届かない」といったケースです。食肉業界だと、特に先方の営業倉庫から出荷される商品の仕入伝票は到着が数日単位で遅れる傾向にあるため、帳簿在庫がリアルタイムで捉えられないという問題が生じます。

また在庫管理に主眼を置かないパッケージだと、在庫を入荷日別に捉えられず同じ商品なら「肩ロースが全部で●ケース」というような見え方になるため、在庫の古い/新しいの見分けや賞味期限チェックなどは現物を見て行うことになります。

食肉パッケージの在庫計上方法

伝票処理が遅くなることを前提として作られている食肉パッケージは、仕入入力/売上入力と独立・連動する形で、入荷入力/出荷入力機能が設けられています。入荷入力により在庫を計上し、出荷入力で在庫を引き落とす仕様です。仕入伝票が手元に届いていなくても商品が届けば(量目伝票等をもとに)在庫を計上できるようになるため、帳簿在庫のリアルタイム性が増すメリットがあります。

また食肉製品という特性上、入荷日別の管理(同一商品であっても入荷日ごとに在庫番号を割り振って管理する)に対応しているため、在庫滞留の早期発見や、ロット指定による先入れ先出しが徹底できるようになるのも特徴です。

その他、食肉パッケージにしかない機能とは

ここまでは一般パッケージと食肉パッケージの違いをご説明しましたが、食肉パッケージにしかないような”業界向け機能”も存在します。たとえば輸入牛を取り扱う事業者様で頻繁に行われる「出切精算処理」、チルド商品を凍結して温度帯や商品単価などを変更する「チルフロ処理」などです。

このあたりの機能は、便利さや効率性をどこまで追及するかの領域であり、各社の食肉パッケージで作り方などに違いが出やすい部分と言えます。自社業務の特徴(何に時間がかかっているか、優先して効率化すべき業務は何かなど)を鑑みながら、パッケージ選定すると良いでしょう。

まとめ

本記事では、一般パッケージと食肉パッケージの具体的な違いについて、デイリー業務の入力機能を中心に解説しました。

食肉パッケージでは、商品入力では畜種やブランド・産地などを別コード化して効率化を図り、数量入力では受発注や物流業務の単位(ケース数やバラ数など)と単価設定単位(kg)の両方を用いることで、金額計算と在庫管理などの実務処理が合理化されます。また一般パッケージとの大きな違いとして、在庫管理もリアルタイムに行えるようになるのも特徴です。

一般業種向けパッケージから食肉パッケージへの切り替えをご検討されている食肉事業者さまは、ぜひ本記事をご参考に、パッケージ選定を成功させて頂ければと思います。

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