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SL大学|取扱商品でシステム要件はどう変わるか【食肉卸】
SL大学2023.1.26
こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。
食肉卸向けシステムは、どんな畜種・温度帯の商品を取り扱うかが、機能要件に影響します。
基礎知識①:畜種・品種を知る
ここではひとまず牛の畜種・品種について簡単にまとめます。ちなみに、豚にも「黒豚」「白豚」などの品種があります。
和牛
「和牛」を名乗れるのは黒毛和種、褐毛和種(通称あか牛)など4品種のみで、基本的に日本生まれ日本育ち。良い餌・良い環境で、手間暇コストをかけて育てられるので、高値で取引されます。
国産牛
日本でだいたい3カ月以上肥育された牛は、「国産牛」と名乗ることができます(海外から生体輸入したものも含む)。主な品種は次の2つ。
■ホルスタイン種
…乳牛のオス。和牛ほど肉質を追及していないぶん、同一部位比較で和牛のおよそ6割くらいの価格帯で取引されます。
■交雑種
…生産コストと肉質のバランスをとるために開発される品種です。代表的なのは、黒毛和種オス×ホルスタイン種メス(いわゆる乳牛)の交配。
輸入牛
部分肉の状態で海外から輸入したお肉。品種としては、赤身肉のアンガス牛が有名です。
基礎知識②:温度帯を知る
食肉製品は冷蔵(チルド)または冷凍(フローズン)で保管されますが、温度帯のパターンや賞味期限の設定基準は事業者により若干異なることがあります。
チルド(冷蔵)
牛の場合、賞味期限は製造日からおおよそ45日程度で設定されます(※ちなみに豚は15~30日程度と短め、鶏はさらに短い)。枝肉から部分肉にカットされ小売に届くまでに仲卸業者(要するに食肉卸)が介在する場合、卸業者の入荷~出荷のリードタイムは必然と短くなります。そこまでしてチルドで流通させたいのは、高単価で取引したいからです(特に和牛)。
フローズン(冷凍)
牛の場合、賞味期限は製造日からおおよそ2年程度で設定されます(カット後すぐに急速冷凍をかけることで賞味期限が長くなる)。2年の間に売りさばけばよいので、売れ残りによる廃棄リスクが少ないのがメリットと言えます。デメリットは、フレッシュで肉質が良いチルド品に比べると、商品評価額(=取引単価)が劣ってしまう点です。
チルフロ(途中でチルド→フローズンに変更)
売れ残ったチルド品を凍結してフローズン品に変更した場合、製造後すぐに凍結されたフローズン品と見分ける目的で「チルフロ」に分類することがあります。凍結により賞味期限は延長され、そのぶん販売機会は獲得できますが、基本的に商品単価(在庫評価額)が落ちることになります。またチルド保管している間に肉質劣化が進んでしまっているため、フローズン品ほど長持ちしません。
取扱商品でシステム要件はどう変わるか
上記のような畜種・品種、温度帯の特性が、システムの機能要件にどう影響を及ぼすのでしょうか。「主力商品が和牛・交雑牛」という食肉卸業者を例に考えてみます。
≪事業の特徴≫
・肉質の高さを売りとしており、チルド商品が多い
・肉質を重視する得意先が多く、現物を見たうえで値決めや購入の意思決定を行うことがある
≪システム要件の例≫
・賞味期限の切迫アラートなど、厳格な鮮度管理を可能とすること
・売れ残り発生時の凍結処理に対応すること(温度帯設定だけでなく評価額変更なども)
・相対販売に対応すること(納品先での売上登録や伝票発行など)
・高単価商品でリードタイムが短いため、単品単位でスムーズに在庫管理を行えること
逆に輸入肉メインの場合はフローズン主体となり、賞味期限管理にしても、年月日ではなく年月管理で十分な可能性もあります。どんな商品を取り扱うかで、システムの機能要件はやはりいくらか変化しそうです。
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