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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|物流KPIってどんなやつ?

SL大学2023.9.25

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

WMSでどのようなデータを蓄積すべきか理解するため、物流KPIについて纏めます。

そもそもKPIとは

KPIは、次の一手を考えるためのツール

KPIとはKey Performance Indicatorの略称で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。目標達成に向けたプロセスの進捗状況を、定量的に評価・分析するための指標です。

ひと昔前は「努力と根性で頑張るもの」といったイメージの倉庫業務でしたが、現在は人手不足で様々な人が物流現場で働くようになっており、努力と根性の世界から脱却する必要が出てきました。

そこでKPIです。KPIは「何をもって良しとするのか」を判断するツールであり、同時に現状を分析し、本来あるべき姿に対して足りない部分を見える化します。その足りない部分に手を打つことで、改善を進めていきます。

KPI分析のメリット3つ

メリット①問題の可視化
…定量データで観測するため業務プロセスの状況を客観的に把握することができ、良い点・悪い点を可視化することができる

メリット②コミュニケーションの促進
…数値の根拠を見える化することで社内・荷主・運送会社と客観的な数値で相談がしやすくなり、関係性がよくなる

メリット③合理的で公平な評価に繋がる
…KPIをもって評価されることにより公平性が生まれ、作業者と評価について話す際の指標にもなり、コミュニケーションが改善される

物流現場におけるKPI分析の例

物流KPIの種類と、よく使われる指標

物流現場では下記3つの視点でKPIを設定し、分析を行います。

■ コスト・生産性
…保管効率、人時生産性、数量あたりの物流コスト、実車率、実働率、積載率
■ 品質・サービスレベル
…棚卸差異、誤出荷率、遅延・時間指定違反率、汚破損率、クレーム発生率
■ 物流条件・配送条件
…出荷指示遅延件数、配送頻度、納品先待機時間、納品付帯作業時間 など

具体例:誤出荷率をKPIに設定する

そもそも誤出荷の原因は多岐にわたり、格納(保管場所)ミス、ピック/仕分け時の商品・ロット・数量ミス、梱包時の同梱ミス、ロット逆転などがあげられます。誤出荷を無くすには、原因が保管方法にあるのか、作業にあるのか、商品にあるのか、アタリを付けなければなりません。そこで以下のような複数のKPIを設けたりします。

指標①:バーコードがついていない商品の誤出荷率
…これが高いと、作業者が目視判別することによるミス(商品・数量違い、色・サイズ違いなど)で誤出荷が増えている可能性 →バーコード管理で改善

指標②:類似商品やロット違い、保管場所違いの誤出荷率
…これが高いと、類似商品やロット違いを近くに保管していたり、入荷時に保管場所を間違えることで誤出荷が増えている可能性 →ロケーション管理で改善

指標③:トラックの積込ミスによる誤出荷率
…これが高いと、配送伝票の貼り間違いや配送指示ミスにより誤出荷が増えている可能性 →一体型帳票や積込検品などで改善

上記のように複数のモニタリング指標を設定すれば、原因を探りだすためのツールとなります。原因を探り出す=ミスが起こっていそうなところにアタリをつけ、必要なログを取ることが重要です。一定期間のログが必要になるため、あらかじめ必要そうなデータを記録しておく仕組みにすることがシステム開発のポイントとなります。

KPI導入時の注意点

KPIを導入すること自体が目的にならないよう気を付けなければなりません。そうならないためには、「いま本当に改善したいことはなにか」「何を課題としているのか」のヒアリングが必要です。また、一気に改善しようとするのではなく、改善したい範囲を絞って少しずつ肉付けしていくことが課題や問題の解決に繋がります。


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