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SL大学|食肉卸がロット管理・単品管理を導入する目的

SL大学2023.9.28

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

在庫管理改革では、ロット管理や単品管理を導入して在庫ラベルを貼る必要があります。とるべき手段はカイゼンの目的によるため、その考え方をまとめます。

「在庫管理ができている状態」とは

まずは「在庫管理ができていない状態」をイメージしてみましょう。

・在庫を実際に数えないと、何がいくつあるか分からない(帳簿と実在庫が合っていない)
・在庫の補充/販売の判断が正しく行えていない(余剰在庫や欠品が発生)
・先入れ先出しができずに古い在庫が残ってしまう
・賞味期限が切れそうな在庫を発見できない(在庫を100%現金化できない)
・「この在庫はいつどこから買ったモノなのか」を調べられない
・在庫に関する改善指示(在庫量の見直しなど)が行われていない  などなど・・・

上記はいわゆる在庫管理のお悩みであり、扱っている商品や事業形態によって当てはまるもの・当てはまらないものが出てきます。上記を裏返したのが「在庫管理ができている状態」なので、在庫管理で目指すものは企業ごとに異なる、ということです。それに応じて「どんな在庫管理をするか」の方法論を検討します。

在庫の管理方法3つ

いまさらですが、在庫管理方法3つ(品番管理・単品管理・ロット管理)を順を追って説明します。

①品番管理

「在庫を実際に数えないと何がいくつあるか分からない」という会社に、在庫管理システムを導入するとします。「何がいくつあるか」を捉えるのにまず思い浮かべるのは、商品コード別に数量を把握するやり方です。smartBPCではこれを「品番管理」と呼びます。

品番管理では正しい在庫数を捉えるという目的は達成されますが、捉えられないものもあります。たとえば肩ロースの在庫が100c/sあったとして、その情報だけでは古い在庫と新しい在庫の見分けがつきません。在庫の先入れ先出しや賞味期限切迫を発見するには、倉庫担当者に「気をつけてね」と言うほかないわけです。

ただ一般的にそのような属人化は良しとされないので、鮮度管理が必要な食肉製品の在庫管理では、次の「単品管理」か「ロット管理」を採用することが多くなります。

②単品管理

「この在庫の賞味期限はいつなのか」「いつ入荷した在庫なのか」を把握したいとき、単純に考えると在庫1c/sごとに情報管理を行えばよい、ということになります。手段としては、シリアル番号を埋め込んだバーコードラベル運用が一般的です。smartBPCではこれを「単品管理」と呼びます。

在庫する前(入荷時)に1c/sごとに在庫ラベルを貼り、同時に1c/sごとの在庫情報(入荷日・賞味期限・不定貫重量など)を登録することになるので、入荷時の作業環境(物量、かけられる時間と人員、バースの広さ)が単品管理できるかどうかの分かれ目です。

単品管理できれば、在庫情報の見える化だけでなく、後続の出荷/棚卸作業において在庫情報登録が格段に効率化・ミス防止されます(シリアル番号バーコードをスキャンするだけ)。「在庫管理できている状態」を目指すとき、単品管理で達成できないものはない、と考えてよいでしょう。

③ロット管理

上述のとおり、単品管理は入荷時の作業環境がポイントです。たとえば1時間に何千ケースも入荷したり、作業用の一時保管スペースがほとんどなかったりすると、あまり現実的な選択肢とは言えません。また入荷した在庫100c/sが全く同じ情報である場合(定貫品など)も、1c/sずつ情報管理するのは非合理的です。そういったときに「ロット管理」を採用します。

ロット管理では「このかたまり(LOT-001)の在庫情報は~です」と入荷登録するので、単品管理より情報登録の手間が減ります。ラベル貼りも、必ずロット別に保管できる場合に限り、代表ラベル1枚で運用可能(原則は全品貼付だけど)。ロット単位で在庫情報を見える化しながら、入荷作業のスピードを落とさずに済むのが最大のメリットと言えます。

ただ、不定貫品を取り扱う食肉業界では1c/sごとに在庫情報(重量)が異なるので、結局は出荷/棚卸作業ですべて情報登録することになります。

単品管理かロット管理か

単品管理/ロット管理は、入荷の手間か、出荷・棚卸時の手間か、の選択のようにも思えます。しかし在庫管理精度は、ロット管理より単品管理のほうが間違いなく上です(単品管理は必ず1c/sずつラベルを貼るので、帳簿在庫のリアルタイム性が上がる&誰がやってもミスがない=在庫精度が高く棚卸が楽)。そのようなことを会社として目指すのであれば、人員配置を見直してでも単品管理を採用すべきでしょう。

繰り返しますが、どの在庫管理方法を採用するかは「何を目指すか」によるのです。そこを押さえたうえであるべき在庫運用を提案できれば、ユーザー側の納得度も上がりやすいかと思います。


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