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SL大学|3PL業者の売上内容と、料金計算の流れ

SL大学2024.1.30

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

3PL業者の商流管理について、纏めます。

3PL業者の収益構造

3PL業者は、荷主企業に代わって効率的な物流戦略・システムの企画~実行を行い、その請負代金で収益を上げています。収益構造は事業形態により異なるので、まずは事業形態の大まかな括りであるアセット型/ノンアセット型それぞれの特徴を整理します。

たとえばアセット型は、土地代や倉庫建設/維持費などを「保管料」として回収しており、保管するモノがないと商売になりません。ノンアセット型はそのような固定費が少なく、各業者と提携しながら倉庫作業員を派遣したら「荷役料」、配送まで請け負ったら「配送料」、という感じで環境変化にも柔軟に対応できる特徴があります(その代わり物流全体を設計できるだけの知識が必要)。

3PL業者の売上費目

ここからは、3PL業者が発行する請求書に「どんな費目をどう計算して表示するのか」について纏めます。費目については、物流の6大機能から考えると分かりやすいです。

①輸配送

3PL業者が入出荷するトラック便まで手配する場合は、荷主に「配送料」を請求します。ちなみにこの場合のトラック便は、自社トラック(=アセット型3PL)のこともあれば、外注(傭車・路線業者)することもあります。

配送料の計算には、発着地やそれに応じた運賃タリフ情報が必要になるため、一般的にはTMSや運賃計算システムで算出し、それを請求システムに連携させます。

②荷役

3PL業者は、入出荷、在庫移動、返品、棚卸、在庫調整などの作業を行うと、荷主に「荷役料」を請求します。荷役料は、対象期間内で取り扱った量(基本は個数、たまに容積や重量)に応じて変動するのが一般的です。これらの作業実績はすべてWMSに記録されるので、入出荷データ等を請求システムに連携し、作業単価(品目ごとや作業種別ごとに設定)を掛けることで料金計算します。

注意点として、たとえば倉庫側のミスで誤出荷が発生した場合、その返品作業料を荷主に請求するわけにはいきません。これを見分けるため、返品や在庫調整作業では「何に起因して作業が発生したのか」をシステム側で記録しておく必要があります(原因区分を設けるなど)。

③保管

在庫型倉庫を利用する荷主には、「保管料」が請求されます。保管料は、定額の月額料金(倉庫1棟貸しや坪貸し)を設定するパターンと、荷役料と同じように荷量(月末の在庫量)に応じて設定するパターンがあります。常に一定量の在庫を預ける荷主以外は、後者を選択することが多いようです。ひと月の波動が大きい場合、2期制/3期制を希望する荷主も少なくありません。

WMS側で在庫データ(前期残)と入荷実績データを出力し、請求システムに連携して保管単価を掛けることで、料金計算します。

④流通加工、⑤包装・梱包、⑥情報システム

3PL業者は、組立・セット組などの業務を請け負ったら「流通加工料」、通販のように梱包業務が発生する場合は「梱包作業料」を、荷主に請求します。それぞれ1件あたりの作業単価が設定されているため、WMSや加工管理システムの実績(出荷数量や加工数量)をデータ出力し、請求システムに連携して料金計算します。ちなみに、このへんの作業単価は「銭」で設定されることがあるので注意(WMSに料金計算機能を実装することは少ないけど)。

また、3PL側でWMSやEDIシステムを所有しており荷主に貸し出す場合は、「システム利用料」を請求します(一般的には定額と思われる)。


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