こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

カンバン方式の基礎知識を纏めます。
自動車製造工場のモノの流れとは
カンバン方式を理解するためには、まずはその仕組みを生み出すに至った「自動車製造工場」についてイメージを深めると良いです。
自動車製造の工程(超ザックリ)
自動車というのは、細部まで分解すれば数万点の部品で出来ていて、各部品が組み合わさってエンジン/メーター/座席シートなどの自動車パーツがまず出来上がります。エンジン/メーター/座席シートを作る設備や技術は異なりますから、これらを作るのは専用の生産ライン(専用工場や外部業者)です。そして出来上がった自動車パーツが運ばれ1か所に集まり、自動車の形に組み立てられます。
自動車製造は、同じ商品でも色や仕様がバラバラ
自動車は原則「受注生産」です。私たちが自動車販売店(ディーラー)から車を買うとき、車体の色やオプションを指定します。たとえば「カーナビを付ける」のは “ディーラーオプション” と呼ばれ、ディーラーが自動車工場から完成車を受け取ったあとに自社工場で追加設置する流れですが、「天井をサンルーフ仕様にする」なら、自動車組み立て時点でそのような天井を取り付けなければなりません(これが所謂 “メーカーオプション”)。自動車工場側からすれば、「今日プリウスを50台作る」と言っても、色や仕様がバラバラなのです。
色・仕様違いのパーツを完璧に準備する必要がある
この流れで、自動車工場内のたとえば天井を取り付ける製造ラインにフォーカスしてイメージしてみましょう。作業者が手元に準備しておく天井パーツは、ノーマル白×●枚/サンルーフ白×●枚/ノーマル黒×●枚…のようなイメージかと思います。
ここで超重要なのは、「自動車の生産ラインは絶対にストップできない」点です(生産ラインを停めたら数億の損害が出ると言われている)。各製造工程は白いプリウスを作るためにそれまで組み立ててきたのに、天井取り付け工程になって「手元に白パーツがない!」という事態があってはならないのです。だからといって、工程それぞれが場内にパーツ在庫を抱えて置いておくわけにもいきません。このような背景から、自動車工場の生産計画は作るモノ・数・時間が完璧に計算され、各製造工程で「欲しい時に欲しいモノが手元に届く仕組み」が構築されています。これを「ジャスト・イン・タイム(JIT)」と言います。
JITを実現するためのツール:かんばん
JIT方式を実現する手法として生み出されたのが、「かんばん方式」です。上記の天井パーツの例で言えば、「ノーマル白×●枚」「サンルーフ白×●枚」「ノーマル黒×●枚」の塊ごとに紙(=かんばん)を貼って表示します。かんばんには品名情報などとあわせて「受入コード(そのパーツを使用する生産ライン近くの搬入口番号)」が表示されており、工場でパーツが荷受けされたら、速やかに場内配送される流れです。
ではそのかんばんは誰がどのように作ったのかというと、最初に自動車メーカー側が注文を受けて生産計画~調達計画を立てた後、自動車パーツの製造業者に発注データを渡します。この発注情報こそが「かんばん」で、現代ではデータでのやり取りとなっているため「Eかんばん」と呼ばれていますが、昔は紙のかんばんで部品発注のやり取りが行われていました。
製造業者は発注データ(Eかんばん)をもとに天井パーツを製造し、印刷したかんばんを外装に貼付して、決められた時間に配送業者に引き渡します。そして計画通りに自動車工場に搬入・荷受けされ、目的の生産ラインに渡されていく流れです。尚、現代ではかんばんにバーコードが表示されており、製造後にバーコードスキャンすると購買実績があがる仕組みがとられています。
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