商品に食肉ラベルが貼付されてあるものの、あまり業務活用できていない事業者はまだ多くいらっしゃいます。「食肉のバーコードラベルを使って何がどこまで出来るのか、実はよく知らない」という担当者様も少なくないでしょう。この記事では、食肉標準バーコードに関する基礎知識と、在庫管理業務への活用事例をご紹介します。バーコードを使った業務効率化を目指すきっかけとなれば幸いです。
食肉標準物流バーコードの基礎知識
食肉業界のバーコード規格(GS1-128)とは
主に国産ラベルで使われるバーコードは、正式には「食肉標準物流バーコード」と呼ばれています。重量/製造日/個体識別番号といった食肉の物流業務に欠かせない情報が格納されており、「製造日を示す情報にはこのマークをつける」というルールがあるのが特徴です。
“このマーク”にあたるものを、専門用語で「アプリケーション識別子(AI)」といいます(※本記事で頻出するのでご記憶ください)。AIは数字で表現され、印刷表示する際は (11)251031 のように括弧で囲うルールとなっています。この例では「11」が製造日のAI、「251031」が読み取るべき日付情報です。
食肉バーコードの主なAI項目
●01:商品コード(14桁固定)
●3102:重量(6桁固定)
●11:製造年月日(6桁固定)
●21:カートンID
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▲10:ロット番号
▲7002:枝肉番号
▲251:個体識別番号
▲240:カット規格
▲17:有効年月日(6桁固定)
上記のほかにも様々なAI項目が定義されており、食肉業界はバーコード化したい項目が多いことから、バーコードは二段構成(基本バーコード+補助バーコード)を標準としています。上記●印が基本バーコード、▲印が補助バーコードに埋め込む項目です。
ただ実態として、「どの情報をバーコード化するか」は事業者の管理基準や使用するラベルサイズにあわせて決めることも多く、基本バーコードがなく個体識別番号だけをバーコード化したラベルもよく見かけます。そもそも補助バーコードはカスタム前提なので、「我が社が仕入れた商品ラベルにもバーコード表示されているが、格納されている情報はバラバラ」ということがよく起こります。
食肉バーコードを在庫管理に活用するパターン3つ
ハンディ端末を使って食肉標準物流バーコードを在庫管理に活用するパターンは、大きく3つに分けられます。
①商品情報を取得する(重量、個体識別番号、賞味期限など)
②指示どおりの商品か、チェックする(部位チェック、産地チェックなど)
③在庫管理番号を取得する(単品シリアル番号)
上記①②については、事業者が選んだ運用のやり方によって、入荷検品/出荷検品のいずれかで行われます。③の活用方法を取り入れる場合は、必ず入荷検品で実施することになります。
活用1:商品情報を取得する
食肉バーコードから商品情報を取得している事例
食肉標準物流バーコードを使って実際にどのような商品情報を取得されているかというと、主には以下の項目です。
■ 個体識別番号(基本バーコード、AI:251)
■ 重量(基本バーコード、AI:3102)
■ 賞味期限 ※詳細は後述
入荷検品で商品情報を取得する場合、取得データがそのまま在庫情報になり、「倉庫に行かなくてもどんな在庫があるのかがシステム上で分かる状態」となります。出荷検品時に取得する場合は、在庫管理というより、納品伝票への商品情報印字に活用するイメージです。
食肉バーコードから商品情報を取得している事例
入荷検品時に食肉バーコードから賞味期限情報を取得することで、在庫の賞味期限管理に繋げることができます。バーコードから賞味期限を取得する方法は、2つあります。
方法1▶製造日(基本バーコード、AI:11)を取得し、それをもとに賞味期限を自動算出する
方法2▶有効年月日(補助バーコード、AI:17)を取得する
方法2は格納されている割合が少なく、方法1を採用することが多い印象です。方法1では、在庫システム側に賞味期限計算マスタ(製造日から+●日)を準備し、それをもとに賞味期限計算を行います。ここでのポイントは、「ラベルに表示されている賞味期限は、部分肉製造業者の計量器設定に基づくものである」という点です。このためラベル通りに賞味期限管理を行うには、工場別や産地別に賞味期限計算ルールを設定する必要があります。
活用2:指示どおりの商品か、チェックする
食肉バーコードでエラーチェックを行っている事例
食肉バーコードに埋め込まれた下記のような情報を使うことで、「予定どおりの入荷商品/出荷商品であるか」をチェックすることができます。入荷検品/出荷検品のどちらでエラーチェックを行うかは事業者が選んだ運用のやり方によりますが、入荷検品でチェックする場合は “事前登録された入荷データのミスを見つける” 側面が強いです。出荷検品でチェックする場合は、“指示された商品をピッキングしたか” を見ます。
■ 部位のチェック(基本バーコード、AI:01) ※詳細は後述
■ 牛個体(枝肉番号/個体識別番号)のチェック(補助バーコード、AI:7002/251)
■ 産地のチェック ※詳細は後述
部位チェックする際の注意点
基本バーコードに埋め込まれている14桁の商品コードのうち、5桁がいわゆる部位コード(正確にはコマーシャル規格に基づいた”標準品名コード” と呼ばれるもの)を指します。5桁のうち、1桁目は畜種(和牛/国産牛…)、次の3桁が部位コード、末尾1桁は自由用途というルールがあります(※末尾1桁をゼロで固定して4桁の部位コードとして基幹システムで使用されることも多い)。
畜種なら1:和牛/2:国産牛…、部位コードなら420:うちばら/430:そとばら…と、コード体系まで標準化されていますが、全国の食肉卸業者がこの通りに部位コードを運用しているわけではないことに注意が必要です。他社ラベルを使って部位チェックを行う場合は、入荷元(メーカーや工場)別に部位コード変換マスタを準備することになります。
産地チェックする際の注意点
前提として、産地を単独で表すAIはなく、補助バーコードに任意で格納される枝肉番号(AI:7002)やロット番号(AI:10)などのなかに含まれるのが一般的です。といっても産地情報を埋め込むかどうかはメーカーの任意であり、産地がバーコード化されていなければ産地チェックは行えません。他社ラベルを使って産地チェックを検討する場合は、事前のバーコード調査が必須になります。
また産地チェックのルール作りも必要で、例えば「国産」の指示であれば「鹿児島県産」はOKとする、などの工夫がないと、実務で不都合が出る可能性があります(出荷OKの商品なのにエラー表示が出て業務が止まるなど)。
活用3:在庫番号(シリアルNo)を取得する
在庫管理に使用する在庫シリアルNoとは
特に国産牛の在庫管理でよく取り入れられる方法として、入荷時にすべての箱に在庫ラベルを貼付し、1箱単位で商品情報(重量・個体情報・賞味期限など)を管理する「単品管理」という手法があります。在庫ラベル1枚ごとにすべて異なる在庫番号(シリアルNo)が割り振られ、そのシリアルNoに商品情報を紐づけてデータ管理するため、在庫情報の見える化や、出荷/棚卸業務を効率化(在庫ラベルを読むだけで商品情報をすべて取得)できるのが特徴です。
食肉バーコードを在庫管理ラベルとして活用している事例
在庫ラベルを貼付する代わりに、基本バーコードのカートンID(AI:21)を使うことで、在庫ラベルとしても活用できるようになります。実際にこの手法を取り入れた事例では、同じ時期に在庫番号が重複しないよう計量器ごとの連続番号をカートンIDに埋め込んで、入出荷検品時の商品情報取得や予実チェックが行われています。
部分肉製造を外部委託しているようなケースでは、カット委託先に「カートンID」へのシリアルNoの埋め込みを依頼することで、自社製造品と同じように在庫ラベルとして活用している事例も存在します。
まとめ
食肉標準物流バーコード(GS1-128)は、重量や製造日、個体識別番号など、食肉物流に必要な情報を効率的に管理するための業界標準規格です。ハンディターミナルと組み合わせることで、商品情報の取得、入出荷時の照合チェック、さらには単品単位の在庫管理まで幅広く活用できます。一方で、補助バーコードの内容は事業者ごとに異なり、部位コードや産地埋め込みなど運用統一されているとは限りません。実際にシステム連携や在庫管理へ活用する際は、取引先ごとのバーコード仕様調査や変換マスタの整備が重要になります。
バーコードに格納された情報を正しく活用できれば、在庫の可視化、検品精度の向上、業務効率化といった大きな効果が期待できます。自社の運用に合わせた活用方法を検討するため、まずは現在取り扱っている商品ラベルにどのような情報が格納されているか、調査することから始めてみましょう。















