Windows11リリースで改めて知りたい、OS更新のシステム的影響

業界共通

10/5にWindows11がリリースされますが、「自社のシステムは何か対応が必要なのか?」「そもそもWindowsって何なのか?」疑問に思われているシステムユーザー様もいらっしゃるかと思います。Windowsは頻繁にアップデートが行われるソフトウェアの一つです。この記事では、改めて知っておきたいWindows更新時のシステムへの影響について解説します。

【まずは基本から】Windowsの基礎知識

Windowsとは、Microsoftが提供している「OS(オペレーティング・システム)」という種類のソフトウェアです。パソコンを買ったときに予めインストールされているのが一般的で、機械の一部として認識されている方も多いでしょう。OSは他にも、macOS、モバイル端末用のAndroidやiOSなどがあり、開発した会社が違うので名前も異なります。

そもそもOSとは

OSは、パソコンやスマホを使うための「基本ソフトウェア」である、と表現されます。パソコンの電源を入れるとまず出てくるのがログイン画面やデスクトップ画面ですが、これらを表示させているのがOSです。アイコンをクリックしてアプリケーションソフト(以下、アプリと呼びます)のウィンドウを開いてあげるのも、キーボードやマウス操作を認識するのもOSがやっています。皆さまが日頃利用している業務システム(アプリ)は、OSがないと動かない・使えないというわけです。

OSは進化する

OS名の後ろには、たいてい数字がくっついています(Windows10、iOS14など)。この数字は機能改修のバージョンを表していて、改修のたびバージョンの数字が上がっていく仕組みです。機能改修=プログラムが一部変わってしまったということ。バグ修正のような些細な機能改修であれば、iOS14.0→14.1といったように小数部分が変化するだけですが、Windows10→11のように頭の数字が変わるとき、プログラムの中身が大きく変わった(進化した)ことを意味します。

OSとアプリの関係性

OSとアプリの関係性を理解するには、一度、開発側の視点に立って頂かなければなりません。話を単純にするため、ここではWindowsに絞ってご説明します。

Windowsパソコンで使うアプリは、Windowsに対応したプログラミング言語で開発されています。C言語やVisual Basicなどが代表的で、外国語を学ぶのと同じように文法も様々、機械への動作命令を一つ一つチマチマと記述していくため、機能1つ作るだけでも途方もない時間と労力を要します。そこでMicrosoftは、Windowsパソコンで使うアプリをもっと簡単に作れるよう、超便利な開発ツール(Visual Studioと呼ばれます)を提供開始しました。このツールを使って開発されたアプリは、従来より短期で開発されたにも関わらず、Windowsパソコンで正しく動作することが約束されています。

尚、申し上げたとおりアプリはOSに対応したプログラミング言語で開発されているので、Windows用のアプリを別のOS(macパソコンなど)で動かすことはできません。※開発ツールを使う使わないに関わらず、です。

Windows更新のシステムへの影響

では、Windowsを更新することで、普段利用するアプリ(業務システム)にどのような影響が出るのでしょうか。

昔のアプリだと動かなくなる恐れも

ビジネスシーンではWindowsパソコンが主流ですから、業務システムに使うアプリは、先に解説した開発ツール(Visual Studio)を使って作られることが多いです。

実はこの開発ツール、Windowsと同じように機能改修のバージョンアップを続けています。Windowsのプログラム改修に対応する形なのですが、問題なのが、すでに開発してしまったアプリについては人の手で対応しなければならないということ。つまり、昔の開発ツールで作られたアプリは最新Windowsに適応できない恐れがあり、もし適応していなければアプリは動かないので、プログラム改修が必要になるのです。

無条件で影響がでるわけではない

Windows更新によるシステムへの影響については、OSと開発ツール(と、厳密にいえばデータベースソフトも)のバージョンの互換性によるものが大きいです。裏を返せば、互換性があるうちは少し昔のアプリであっても最新Windowsで問題なく動かせる、ということになります。

詳細はこのあと解説しますが、OSのバージョンアップに影響しづらいアプリ開発手法もあります。そのようなアプリを使ってシステム構築されていれば、Windowsを更新することの影響はほとんどありません。

インターネット上で提供されているアプリ(クラウドソフト)を利用している企業も多いでしょう。一概には言えませんが、基本的にブラウザ上で動作する仕様のため、Windows更新の影響はここまで説明してきた自社設置型アプリ(オンプレ型と呼ばれます)より少ないと言えます。

Windows更新の影響度合いの見分け方

Windows更新で「昔のアプリだと動かなくなる可能性があるが、無条件で影響がでるわけでもない」ことがわかったところで、知りたいのがその見分け方です。システムベンダーに相談するのが一番なのですが、ユーザー企業でもなんとなく見分けられるようになる方法があります。

どうやって開発されたアプリかを知る

先に述べたとおり、Windows更新で影響が出るかどうかはOSと開発ツールの互換性によります。開発ツールとは開発者向けの時短グッズであり、これがなくてもアプリは作れるわけで、世の中には開発ツールを使用せずに作られたアプリも数多く存在します。「OSに依存し難いアプリケーション」と評されるもので、これを作るには膨大なコスト投資が必要です。必然と、資金力のある大手IT企業製パッケージに限られてくるのがご理解頂けるでしょう。

逆に中小IT企業製のパッケージは、何らかの開発ツールを使って作られていることが多く、Windows更新の影響を受けやすいと考えられます。

いつ開発されたアプリかを知る

昔の開発ツールで作られたアプリは、Windows11で全く使えなくなるわけではありません。MicrosoftがWindowsリリースの都度、ある程度の利用可能期間(サポート期間)を設定してくれるのです。「ある程度」というのは時間軸の話で、5年前のツールまで利用可能とか、そういうことです。プログラムを仕立て直すまでの執行猶予のようなものだと解釈するとよいでしょう。

パッケージソフトの場合だと、開発会社は「最新Windowsでアプリがちゃんと動くか」「プログラム改修が必要な箇所はないか」などのを調査を行い、ユーザーに情報提供してくれます。あまりに古い開発ツールで作られたアプリだと、最新Windowsでサポートしてもらえないことがあるので、そうなると作り変えが必要です。

サーバのWindowsには関係ない

クラウドソフトを利用している企業には関係ありませんが、自社サーバを持っている場合、サーバにもWindowsが入っているのでそれはどうなるのかという疑問が湧いてきます。

これについては、今回のWindows11の話とは別物です。サーバに入っているOSは「サーバOS」と呼ばれる類のもので、商品名称も異なります(Windows Server 2019など)。Windows11に関係があるのは、あくまで個人が使っているパソコンになるので認識しておきましょう。

OS更新前に、システムベンダーに相談を

Windowsは「自動アップデート」という機能があり、放っておくと予期せぬタイミングで自分のパソコンがWindows11に変わってしまいます。まずは手動アップデートに設定を切り替えておき、アップデートして利用するシステムに問題はないか、ベンダーに確認してからアップデートを行いましょう。

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