システム開発見積が「高い会社」と「安い会社」の違いとは?

業界共通

システム開発の見積は、ベンダーが変われば数百万単位で変動することがあります。社内のシステム導入時に相見積もりをとったことのある担当者様であれば、「なんで同じものを作るのにこんなに金額が違うのか」と疑問に思ったこともあるでしょう。

結論を言えば、見積が高かろうが低かろうが、自社に合った見積(=契約内容)であればそのベンダー選びは成功です。本記事では、システム導入を検討する企業が納得のいくベンダー選びをするためのポイントを、「見積金額」の側面から解説していきます。

そもそもシステム開発にかかるコストとは

見積金額の大部分は人件費

言うまでもなく、見積金額とは原価に利益が上乗せされたものです。システムベンダーにおける原価の大部分は「人件費」、つまり人間の作業コストになります。具体的にどんな作業かというと、

  • 要件定義などの打合せ
  • 設計書などのドキュメント作成
  • プログラム開発
  • 動作テスト
  • 機器設定や操作説明

といったものです。顧客企業側からすれば非常に見えづらい作業であり、なんとも曖昧なものの正当性を評価しなければなりません。だからこそ相見積もりを取るのですが、そこで一方が極端に高かったり安かったりすると「いったい何が妥当なのか」と余計に混乱するわけです。しかし見積金額の成り立ちを見抜けるようになれば、見積を正しく比較し、納得のいくベンダー選びをすることができます。

開発費=人件費単価×作業工数

システム開発の作業費は、人件費単価×想定する作業工数(日数)で算出されます。つまるところ、ベンダー各社の見積額の違いは「設定されている人件費単価または作業工数が違う」ということです。A社とB社で単価/工数がなぜ異なるのか、その背景に迫ることで見積比較はグンと行いやすくなります。

人件費単価に違いが出る理由

固定費の違い

技術者一人あたりの固定費が大きいと、原価を回収しなければならないベンダーは人件費単価を高めに設定することになります。例えばオフィスの家賃負担が高い都心のベンダーは、地方ベンダーより高単価になりやすく、福利厚生が充実しているようなベンダーも同じく高単価になる傾向があります。

スキルレベルの違い

ベンダーは、スキルレベルが高かったり専門的スキルを持つ技術者には、高い報酬を払っています。そのような技術者をプロジェクト人員に充てる場合、それなりの請求をしなければ当然赤字です。このため専門スキルや知識が必要とベンダーが判断したプロジェクトは、人件費単価が高めに設定されることがあります。

よくあるのは、要件定義などの上流工程作業だけ単価を上げるパターンです。これは高度なスキルを要する重要作業に優秀な技術者を配置し、最小限の予算で確実にプロジェクトを成功させようというベンダー意欲の表れと解釈することができます。

作業工数に違いが出る理由

開発スピードの違い

開発スピードが早ければ、作業する日数は少なく済みます。ベテラン技術者と新人技術者では作業スピードが違いますから、例えば新人を多くかかえるプロジェクトだと工数を長めに見積もられることが多いです。また、ベンダーは開発スピードを上げて工数を圧縮できるよう、様々に工夫しています(高速開発ツールの使用や、開発済みプログラムの活用など)。そういった取り組みの有無で、見積工数に違いが出ることもあります。

業務理解度の違い

業務システムの開発導入には、深い業務知見が必要になります。ベンダーは顧客業務についてまず理解しなければならず、そのための時間が必要になるのです。当然、業界業務の基本知識があるベンダーとそうでないベンダーでは、理解に要する時間も異なります。一概には言えませんが、見積書の「要件定義」の工数が他社より多く見積もられている場合、まだ知識が浅いためにリスクを多めに上乗せしている、ということが考えられます。

見積の機能範囲の違い

同じ条件で見積依頼しても、見積対象となる機能範囲は意外とベンダーごとに異なるものです。機能範囲の大小は、見積工数の大小となって表れます。

例えば事前の打合せで「今回の依頼は、出荷業務全体の合理化が目的なのだな」とベンダーが解釈した場合、出荷に関わる機能はたとえ打合せ内で言及されていなくても開発範囲に含めたりします。これはベンダーの経験値やニーズヒアリング能力が大きく影響する部分で、ベンダーごとに得意分野が異なるから見積条件の解釈も異なるわけです。導入企業の皆さまはできるだけ同じ条件下で比較をしたいはずなので、見積前の打合せでは導入検討の目的をきちんと言語化し、ベンダーと共有することが大切になります。

どうすれば適正価格で発注できるのか

「見積が高い=安心」という幻想

見積金額が高いのには理由があります。ご紹介したように、そのベンダーが有能な技術者の集団で、設定する人件費単価が高いせいかもしれません。絶対にシステム障害を起こさないなど品質重視する場合は、そのようなベンダーを選ぶのも良いでしょう。逆に業界業務に無知で、リスクヘッジ分の工数が多く見積もられている可能性もあります。見積範囲が見当違いの可能性もあるし、開発プロセスにムダが多いだけかもしれません。見極めるためには、なぜその単価、その工数であるかをしっかりベンダーに確認することです。

「安かろう悪かろう?」安さのウラ側を想像しよう

見積金額が安いのには理由があります。ご紹介したように、地方ベンダーで固定費が安いから人件費単価が抑えられているのもしれません。工夫して開発工数の削減を実現しているのかもしれないし、逆にこれといった理屈がないまま「気合いで短期間で仕上げます!」と言っているだけの場合もあります。後者だと品質低下を招きがちですが、なかには品質は担保し、文字通り身を削る覚悟で提案してくるベンダーもいます。これもまた、見極めるためにはなぜその単価、その工数であるかをベンダーに確認するほかないのです。

さいごに

見積比較する場合、どの見積要素がそうさせているのか、分解して考えることをおすすめしています。見積金額の成り立ちに迫っていくと、おのずとそのベンダーの本質部分にたどり着きます。ビジネスパートナーを選ぶ上では、とても重要な作業と言えるでしょう。金額が高い・安いという表面的な部分に捉われず、自社が何の対価に対してお金を払おうとしているのか、しっかりと納得感を持ってベンダー選びをしていただければと思います。

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