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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|仕入と売上が同時に発生する取引

SL大学2023.1.27

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

食肉卸では、「右左商売」「繋ぎ販売」と呼ばれる取引形態があります。

直送・切替出庫・切替名変

前提として、取引の呼び名は事業者により異なります。現場の実務担当者が言う「右左商売」や「繋ぎ販売」が具体的にどんな商取引のことを指しているのか、まず確認しなければなりません。当社の食肉パッケージsmartBPCでは、直送切替名変切替出庫の3つに区分して定義しています。

直送とは

仕入先→得意先へ、商品が直接納品される取引を、smartBPCでは「直送」と呼んでいます。
自社在庫にない商品の注文を受けたら、当然、仕入先に発注をかけます。その発注商品が自社に納品されると普通の仕入れですが、どうせすぐに得意先に向け出荷するのであれば、自社に運び込むだけムダです。そういうわけで、仕入・販売の伝票処理だけを行い、モノは直送します。
自社としては、モノの受入業務や出荷業務を発生させずに売上を上げることができるため、戦略的にこのような取引形態が採用されることもあります。

切替名変とは

仕入先から名変購入し、そのまま得意先に名変販売する取引を、smartBPCでは「切替名変」と呼んでいます。自社在庫にない商品の注文を受けたときに仕入先に発注をかけるのは「直送」と同じですが、違いはモノが動かない点です。
モノが動かない=営業冷蔵庫に置いたまま、ということ。名義変更の行為だけで「買った」「売った」を行っていて、100ケース単位(ロット単位)の商品取引でよく見られます。ロット単位なのでそこそこの高額取引になるわけで、≪取引実績のない会社同士の売り買いを仲立ちする≫という信用貸しのような役割も担っています。

切替出庫とは

仕入先から名変購入し、すぐに得意先に全量出荷する取引を、smartBPCでは「切替出庫」と呼んでいます。「切替名変」の派生型で、自社在庫にない商品の注文を受けたときに仕入先から名変購入するところまでは同じですが、名変で売るのではなく実際に出荷・納品して売りを立てます。

仕入・売上を同時計上する

直送・切替名変・切替出庫の共通点は、仕入・売上の伝票処理が同じタイミングになるということです。不定貫商品は、出荷手続きするまで取引重量が確定できません。仕入先から商品の重量明細を受領したタイミングで仕入入力を行い、同時に売上入力が可能になるのです。

仕入も売上も、商品明細は基本同じ。販売管理システムのポイントとしては、仕入入力・売上入力で同じ情報を二度登録しなくてすむような機能を設けることです。smartBPCでは、直送入力画面より仕入情報と売上情報を一気に登録します。また、名変なのか出荷するのかを見分けるために、直送/切替名変/切替出庫の区分を登録する仕様としています(出力する依頼書書式などを制御する)。

出切重量精算の対象となることにも注意

名変で売り買いされるものの多くは、輸入肉です。切替名変/切替出庫で仕入先から名変購入するときは、ほとんどのケースで概算重量(=正確な量目明細がわからない状態)での取引となります。要するに、出切重量精算の対象ロットとなるのです。

■切替出庫
出荷時に全量量目を取ることになるので、取引と同時に仕入の重量精算が発生します。

■切替名変
概算重量で名変購入後すぐに名変販売するので、とりあえず概算重量で売るしかありません。正しい重量が確定するのは、得意先が該当ロットの在庫を販売し切ったとき。得意先からの出切重量報告書をもとに、売上の重量精算と、仕入の重量精算も行います。


≫関連ノート:出切精算が発生する背景と、システム処理