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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|出切精算が発生する背景と、システム処理

SL大学2023.11.1

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

出切精算が発生するのは「輸入肉」です。輸入~精算処理の過程をまとめます。

輸入肉の流通過程と、概算取引

輸入肉の一般的な流通過程は、商社が海外から一括輸入(港湾倉庫に保管)→卸業者Aがある程度まとまった単位で買い取り→別の卸業者BとCに小分け販売…という感じで下流に流れていきます。輸入肉が他の食品輸入と違って特徴的なのは、このときの取引金額の出し方です。

不定貫品の国内取引はkg単価なので「売った(買った)商品が何kgなのか」が重要ですが、たとえば商社から卸業者Aに50c/s販売されるとき、「だいたい500kgくらい」というアバウト重量で取引されることが珍しくありません。理由は以下の通り。

・商社が海外仕入先から受け取った伝票(貿易インボイス)にはポンド記載されている
・商社は、卸Aに販売した50c/sの正確なkg重量(商品ラベル記載のkg重量)がわからない
・そもそも商品ラベルにkg重量の記載がない(ポンド→kgの換算が必要)

で、「だいたい500kg」という取引になります。こういった概算取引は、いずれ正しいkg重量が判明したタイミングで取引金額を再計算しましょう、という約束のもと行われます。

概算取引の再計算=出切精算

正しい重量が判明するタイミングは、基本的に「倉庫からの出庫時」です。商社が輸入して港湾倉庫に入庫した時点では、c/s数しかチェックされません。また、商社→卸Aへの販売が名義変更により行われた場合も、出庫が発生しない(正しい重量がわからないまま)ので概算取引となります。

上記のケースでいえば、卸Aが商社から名変購入した50c/sをすべて出庫販売した(出切った)時点で、ようやく50c/sの正しい重量が確定します。このときに行うのが「出切精算」で、入荷時のアバウト重量と出荷量目の合計重量を比較し、重量差異に応じて差額調整を行います。

そもそもインボイス上の重量から全然違ったということも有り得るので(向こうは日本ほどキッカリしてない…)、その場合は差額調整ではなく後の値引とかで対応しているようです。

システム処理パターン

卸Aが50c/sを出庫販売し切ったあとのシステム処理の流れは、

ロット別の入出荷履歴一覧を出力(商社に対する出切報告書として使える)
→入荷重量と出荷重量の誤差から精算金額を算出
→仕入入力/売上入力で誤差分の赤黒伝票を起票(過去伝票の全額マイナス処理パターンもあり)

が一般的です。smartBPCでは「出切精算照会」で精算金額算出までを1画面で行えるほか、これに加え赤黒伝票の自動起票まで行う「出切精算入力」として実装するパターンもあります。


≫関連ノート:仕入と売上が同時に発生する取引