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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|ロジスティクスマネジメントと物流SIerの役割

SL大学2023.4.3

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

我々が物流SIerとして何を考え何をすべきなのか、LMの原理原則から紐解きます。

SCMとLMの違い

SCM=サプライチェーンマネジメント、LM=ロジスティクスマネジメントです。

サプライチェーンとは、原材料を起点にモノのサプライが連鎖した一連の経済活動のこと。流通の川上(原材料メーカー)から川下(消費者)にモノが流れていく物流と、その過程で売買が行われることで発生する商流が含まれます。物流はサプライチェーンを成り立たせる要素の1つであり、流通売買の際にはコストとして価格転嫁されるのが特徴です。これらサプライチェーンの構造を俯瞰し、情報連携などで全体効率化・全体最適化する取り組みがSCMです。

サプライチェーンにおける物流の役割は、「6大機能(下図ピンク枠)」として一般的に定義されています。つまりLMとは、この6大機能の課題解決や合理化を進める取り組みなのです。

物流の6大機能とは

機能①保管

保管=在庫のこと。商品流通において在庫を持つ意義は、「販売機会の最大化」です。消費者や仲卸が「買いたい」と思ったときに即販売できるよう、企業は在庫を持ちます。当然、在庫を持つには倉庫が必要です。LMでは、必要とする倉庫の広さ(=在庫量)、保管方法(ロケーション・棚管理)などの合理化に取り組みます。例:自動倉庫で保管効率アップ、商品特性に応じた固定/フリーロケーションの使い分け、出荷量予測による在庫適正化など

機能②輸配送

輸配送=モノを運ぶ。輸配送は1社で完結するとは限りません。保有する配送ネットワークの違いを活かし、輸送(エリア間を運ぶ)と配送(ラストワンマイルを運ぶ)を事業者で役割分担して運ぶことも多いです(リレー式配送)。SCMでは商業団地を形成して同一商品カテゴリの輸送効率を高めるなどの全体設計を行いますが、LMではトラック積載効率アップや、トラック待機時間削減などに取り組みます。例:TMS導入による配車効率化、検品レスによる接車時間短縮など

機能③荷役

荷役=モノを動かすために人が行う作業で、トラック積み降ろしのほか、入出荷・棚卸検品、パレット積み付け・ラップ巻き、先入先出のための在庫整理整頓なども含まれます。1つ1つの作業に時間がかかると、それだけ物流コストも増えるということ。LMでは、作業者への荷役指示だけでなく、庫内作業の時短などに取り組みます。例:自動倉庫やロボット(GTP/AMR、パレタイズロボット等)による無人化など

機能④梱包・包装

ハンドリングを効率化したり商品を傷つけたりしないよう、缶飲料24本を段ボール1c/sに纏めたり、通販出荷で緩衝材を入れて箱詰めするのも、物流の大切な機能です。当然、そのための梱包資材調達・管理が必要になります。メーカーでは生産プロセスの一部となっていますが、LMでも梱包資材(素材やサイズ)の適正化などに取り組みます。例:荷量に応じて段ボールサイズを自動選択する、段ボール自動組立機による省人化など

機能⑤流通加工

流通加工で代表的なのは、外国で生産された洋服へのタグ付け、シャンプー・コンディショナーセットなど小売販促のための包装、自動車工場への納品用にタイヤとホイールをアセンブリするなどです。LMでは、これら流通加工作業の効率化・指示の適正化などに取り組みます。例:予定管理や作業指示による加工業務適正化など

機能⑥情報処理

上記①~⑤には、それぞれ情報が付随します。①保管であれば、「どんな在庫がどれくらいあるのか」などです。倉庫担当者がその次に考えるのは、「どの在庫を補充すべきか」「どの在庫をどれくらいストックしておくべきか」などでしょう。それを判断するには、在庫適正値や受注見込などの情報が必要です。④梱包においては、梱包情報をSCMラベルなどに表示することもあります。それらの情報処理手段として、需要予測やWMSなどのシステムを必要とします。


≫関連ノート:物流の役割を、サプライチェーンから紐解く