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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|棚卸差異の発生要因と対応策

SL大学2023.4.18

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

棚卸差異の発生要因と対応策を整理します。棚卸差異は「帳簿在庫と実在庫の誤差」なので、ここでは帳簿在庫/実在庫をそれぞれ狂わす原因から考えていきます。

帳簿在庫が狂う原因=入出荷伝票の入力ミス

入出荷伝票の入力ミスとは

食肉卸で一番多いのは、商品コードの入力ミス(微妙な仕様違いで、商品コードを取引先別に使い分けるパターンなど)。数量重量の入力ミスは、納品書と現物の不一致で間違いに気づける確率が高く、月末棚卸前までに伝票修正されることが多いように思います。

入出荷伝票ミスを発見・修正するためのシステム運用

smartBPCでは、下記の流れで入出荷伝票の入力ミスを発見・修正する運用を推奨しています。

①登録した入荷伝票の正しさをチェック【日次業務】
→仕入先から受領した入荷明細(納品書等)と、smartBPCから出力した入荷明細表を照査し、一致していれば入荷伝票は正しいと判断。入力ミスがあれば該当の入荷伝票を修正する。
②登録した出荷伝票の正しさをチェック【日次業務】
→受注メモ等とsmartBPCから出力した出荷明細表を照査し、一致していれば出荷伝票は正しいと判断して納品書発行。納品後に得意先から伝票ミスを指摘されたら、該当の出荷伝票を修正して納品書も出し直す。

上記を行っていてもミスに気づけず棚卸差異となった場合は、下記運用を行います。

③差異実績から入出荷伝票を遡って修正する【棚卸時】
→棚卸差異が生じた商品の受払表を出力し、受払明細と実伝票明細(仕入先から受領した納品書や得意先サイン済みの受領書など)を対査。不一致を見つけたら、該当の入荷/出荷伝票を修正する。

そもそも入力ミスを防止するには

帳簿在庫を狂わせないための最も根本的な対策は、「伝票入力ミスが起こらない仕組み」を作ること。その代表的な方法がバーコードラベルの活用です。また、類似商品の商品コード入力ミスについては、リピート注文(取引先別いつもの商品選択)機能を設けることで、ある程度防止できます。

実在庫が狂う原因①実棚ミス

帳簿在庫が正しくても、棚卸差異のもう一つの要素「実在庫」が狂っていれば差異は発生します。実在庫を狂わす原因は2つ。①実棚ミスと、②在庫紛失です。

実棚ミスとは

実在庫の数え間違いや、棚卸表への記入間違いのこと。この人的ミスの背景にあるのは、棚卸にかかる過大な作業負荷です(一回の実棚数量が多い、残業対応などで棚卸時間が限られている等)。これを解決するために「循環棚卸」を取り入れる倉庫もあります。

実棚~差異チェックのシステム運用

smartBPCの棚卸入力では「棚卸対象倉庫」と「棚卸日」を指定し、その棚卸日時点の帳簿在庫に対して実棚結果をぶつけ差異を出します(棚卸差異表出力)。循環棚卸する際も同様の処理になりますが、品目やロケーション別に循環棚卸を行う場合は、条件で絞り込んだ時点在庫を抽出する必要があるため仕様は検討する必要があります。

そもそも実棚ミスを予防するには

「実在庫の数え間違い」「棚卸表への記入間違い(棚卸入力ミス)」は、バーコード棚卸で解決可能です(ただしロット管理商品は自力で数えて手打ち)。また、一斉棚卸を行っている事業者の場合、循環棚卸を取り入れることで作業負担が軽減されミスを減らせる可能性があります。在庫の保管状態が悪い(保管がぐちゃぐちゃ)場合は、ロケーション整備から必要なことも。

実在庫が狂う原因②在庫紛失

在庫紛失とは

たとえば、商品Aを棚卸した結果、「帳簿在庫上は50c/s(80kg)存在するはずなのに、どれだけ庫内を探しまわっても49c/s(78.5kg)しか見当たらない」というケースが在庫紛失です。在庫紛失が起こる理由は、誰かが勝手に廃棄した、盗難された、などが考えられます。

紛失発覚~在庫調整のシステム運用

通常、在庫紛失を疑う前に、上記で説明した入出荷伝票の入力ミスを疑います(手順③)。そこで入出荷伝票に誤りがなければ、紛失確定です。紛失理由はともかく、実態として商品Aの在庫は49c/sしかないので、帳簿在庫もそれに合わせる必要があります。smartBPCでは「在庫調整入力」で、-1c/s(-1.5kg)の在庫調整処理を行います。

そもそも在庫紛失を予防するには

在庫紛失予防には、棚卸サイクルを短くする(日次棚卸や循環棚卸)のも有効ですが、一番効くのは在庫システム導入による管理強化です。在庫状態の見える化やトレーサビリティを確立することで、従業員の在庫管理意識が向上することが往々にしてあります。(結果、入出荷運用ルールが徹底され、盗難リスクへの対策などが自発的に取られていくようになる)


≫関連ノート:入出荷日基準の棚卸表と、仕入売上日基準の棚卸表