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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|運輸業界と運送会社の原理原則からTMSを考える

SL大学2023.6.9

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

輸配送システムを考えるときの最も基礎となる、運輸業界・運送会社の原理原則を学びます。

運輸業界・運送会社の立ち位置とは

ロジスティクスマネジメントの話で纏めたとおり、「輸配送」は物流を構成する要素の1つです。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とロジスティクスマネジメント(LM)の違い_輸配送

上図ピンク部分(物流の6大機能)を実際にやろうとすると、そのための設備や人、さらにはそれらを効率化・省コスト化するためのノウハウが必要になります。生産者や販売者が付帯業務として行うにはあまりに大変だ、と言う事で、その役割をすべて(または一部)請け負うのがいわゆる3PL業者です。

そしてそのなかでも「輸配送」機能に特化して、設備・人・ノウハウを準備し、サービスとして提供しているのが、運送会社であり運輸業界なのです(3PLから輸配送を請け負うケースも多い)。

運輸業界・運送会社が担うものとは

運輸業界のカバー範囲は広いので、運送会社で役割分担

「モノや人を運ぶ」ことに特化した運輸業界はそれだけで一大産業(市場規模数十兆円)ですが、カバー範囲としては、一般的にイメージされやすいトラック輸送のほかに様々な輸送手段・形態が包括されます。また輸送プロセスに着目して、一次輸送/二次輸送に区分することもできます。

■輸送手段や形態
道路運送、海運、航空輸送、鉄道輸送、パイプライン輸送(ガス・水道など)、連絡船
※海運や航空輸送は「航送」と呼ぶ(ちなみに運送というと、主にトラックを使った運搬を指す)

■輸送プロセス
一次輸送:幹線(エリア間)輸送、二次輸送:ラストワンマイル配送

運送会社は、上記の要素を組み合わせる形で自社の立ち位置を作り、お仕事を取っていくわけです。たとえば「弊社は陸送と海運を使った一次輸送が可能で、二次輸送の提携業者もいるから長距離配送にも対応しますよ」といった具合に。

ロジスティクスにおける運送会社の役割

ロジスティクスにおける輸配送機能とは、具体的にどんなものを指すのか考えてみましょう。

・トラック/船/飛行機などの輸送手段を提供する(設備と人:車輌管理や乗務員管理)
・地理的なルートを選択する(発着/中継地や所要時間:輸配送計画)
・実際の輸送とトラッキング(モノを動かす:運行管理と位置情報管理)
・3PLとの上記に関する情報共有 ※3PLから輸配送を請け負う形態の場合

運送会社はこれらの役割を果たすため、カッコ内に示したような様々な管理を行わなければなりません。なのでTMSのような情報システムが必要とされるわけです(そしてその情報システムの在り方は、各運送会社が担う輸送手段・プロセスにより異なる)。

ちなみに、運送会社のなかには、輸配送だけでなく他の物流機能(保管や流通加工など)まで担う事業者も存在します(○○物流など社名でこのパターンを見分けられることも多い)。そういった場合、さらに果たすべき役割が拡大することになります。


≫関連ノート:ロジスティクスマネジメントと物流SIerの役割