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SL大学|食肉バラ管理のシステム運用まとめ

SL大学2023.8.3

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

食肉業界のバラ管理について、基礎知識からシステム入力運用までまとめます。

バラ管理の基礎知識

別ノートにて、箱やケースの中身の数を捉える際は、荷姿に応じて「●本」「●パック」「●袋」などの単位を使うことを説明しました。これらは、総称して「バラ単位」と呼びます。

バラ単位は、出荷の最小単位です。たとえばある食肉卸が豚もも(4本入り)を1箱入荷したとして、得意先から「1箱はいらない、1本でいい」的な注文が入ることはそこそこあります。するとその食肉卸は箱を開封して、1本だけ出荷します(いわゆるバラ出荷、残り3本はバラ在庫)。

そもそも卸というのは、一括仕入れしたものを多数の得意先に小分け販売するのが基本形態です。入荷単位と出荷単位が異なることは往々にしてあり、バラ販売を行う事業者は「入荷1箱→在庫1箱→出荷1本→在庫3本」の一連の管理を何らかの手段で行わなければなりません。

バラ管理のシステム運用

上述の豚ももバラ出荷を例に、システム運用を考えてみましょう。

バラ出荷対応していないシステムの場合

バラ出荷対応していないシステムは、≪入出荷単位は常に同じ(ケース入荷したらケース出荷するし、バラで入荷したらバラで出荷する)≫という前提で作られています。こういったシステムでバラ管理を行うには、入出荷の単位を揃えるしかありません。

具体的には、入荷時に「4本」で在庫計上し、そこから「1本」出荷して在庫を落とします(1箱ですでに在庫計上されている場合は、いちど1箱を出荷処理→4本入荷処理して同じ状態を作ることもできるが、商品コード管理が複雑になる可能性があることに注意)。

バラ出荷対応しているシステムの場合

バラ出荷対応するシステムの入力運用を、smartBPCを例に解説します。入荷は実態どおり「1箱」で登録・在庫計上したうえで、バラ注文を受けたら下記赤枠のように「1本」で受注入力を行います(この情報をもとに出力する出荷指示書も「1本」と表示される)。

箱単位の注文は【ケース数】に整数値を入力しますが(上段)、バラ注文の場合は「1箱以下」という意味合いで任意の小数値を入力する仕様です。

ピッキング・荷揃え後は、出荷入力を行って在庫を引き落とします。ここでも【ケース数】は小数値で入力しますが、出荷入力では【数量/重量】と【出荷単位】は荷姿の単位ではなく、単価設定の単位でなければなりません。(※売上伝票を作るため、詳しくは別ノート参照)

バラ出荷においても、kg単価の定貫品とすべての不定貫品は、【数量/重量】と【出荷単位】に必ず「●kg」という情報が入ります(上段)。「1本」という情報がなくなるので、備考欄にバラ残数のメモを残して在庫管理する運用としています(残在庫のケース数=0.9の表記で、半端在庫を表す)。

下段は、荷姿単位で単価設定している(1本500円などの)定貫品の入力イメージです。上段・下段ともに、【数量/重量】×【原単価・売上単価】を掛けて金額計算します。

補足:バラ出荷時の原単価計算

上記入力画面の【原単価】というのは「これ以上の金額で売ってね」を示すので、在庫の評価単価(仕入単価に販管費を上乗せしたもの)を入力or表示するのが一般的です。

箱で入荷してバラ出荷するとき、kg単価で仕入れていれば(箱もバラも関係ないので)在庫に設定された評価単価をそのまま表示すればよいですが、箱単価で仕入れている場合、バラ1本あたりの原単価がいくらなのか自分で計算しなければなりません。smartBPCでは、定貫品についてのみ、以下のプロセスでバラ原単価の自動計算を可能としています。

①入力された【出荷単位】が、バラ単位であるかどうかを判定(単位マスタ制御)
②箱あたりの評価単価÷入数で、バラ1本あたりの原単価を自動算出(入数は商品マスタ制御)


≫関連ノート:食肉卸の「数量」の捉え方と、システム入力方法