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SL大学|仕入原価の計算方法と粗利への影響

SL大学2023.9.29

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

粗利計算に必要な、「仕入原価」の計算方法についてまとめます。

売った商品の仕入原価をどう捉えるか

同じ商品でも、仕入原価はバラバラ

別ノートにて、販売管理システムにおける粗利管理の考え方と、粗利算出のためには売った商品の原価情報(smartBPCでは評価単価)が必要になる旨を説明しました。では「売った商品の原価情報」をどう情報管理するか、という話です。

というのも、特に食肉卸のような生鮮品を取り扱う会社では、同じ商品がすべて同じ仕入原価とは限りません。市場価格変動に加え、個体差や鮮度差で商品価値のブレが存在するからです。在庫50c/sのなかから1c/sを販売する場合、「その1c/sの仕入原価(≒評価単価)」を知る必要があります。

仕入原価の捉え方(計算方法のパターン)

「その1c/sの仕入原価」をどう捉えるかについては、いくつかパターンがあります。

■移動平均法:仕入原価を在庫数で平均する(入出荷の都度、在庫残数で再計算)
■個別原価法:1c/sごとに実際の仕入原価を記録しておく(単品バーコード管理が必要)
■最終仕入原価法:直近の仕入原価を適用する(価格変動がある商品は使えない)

ほかに総平均法や標準原価法もあるので、詳しくは自分で調べましょう。これらを商品ごとに使い分けたり(高額商品は個別原価法にする等)、ときに計算方法を見直したりします(経営改善等)。

原価計算方法で、粗利の見え方はどう変わるか

仕入原価計算は、誤差があるのがデフォルト

別ノートにて「販売管理システムの粗利は損益計算書の営業利益と一致しない、なぜなら販管費が一致しないから」と説明しました。しかし上述の原価計算方法を見ると、一致しないのは販管費だけではなさそうです。

個別原価法以外は、ある意味「加工した原価情報」と言えます(ちなみに標準原価法は任意で金額を決めるものなので、加工ですらない)。実際の仕入金額を原価とする財務会計と1円単位でズレが生じるのは織り込み済で、結果、はじき出した粗利にも誤差が出てきます。とはいえ正しく運用できていれば、ニアイコールにはなるでしょう。

販管システムの粗利は変わるが、P/Lの利益には影響しない

正しく運用できていない状態とは、「価格変動が激しいのに最終仕入原価法を採用している」とか「ルール通りに計算された原価を勝手に打ち変えている」とか、そういうことです。そうして粗利が不当に高く見えたり低く見えたりすることはあります(はっきり言って意味のない粗利情報)。

ただ、これはあくまで、販売管理システム(管理会計)における原価・粗利計算の話。損益計算書(財務会計)における売上原価・売上総利益では、実際の伝票金額どおりに仕入原価を捉えるので(※)、どの計算方法を採用しようが影響はありません。

※損益計算書「売上原価」補足
厳密には、その月/その年の仕入原価(仕入れ商品)の一部は在庫として繰り越されるので、仕入原価が丸ごと「売上原価」になるわけではない。したがって売上原価計算には棚卸高も算入させる。このときの棚卸高の計算方法は、上述の原価計算方法とは別モノである点に注意(選択肢は一緒だが、事前に税務署に届け出た計算方法のみ使えます)。


≫関連ノート:販売管理システムにおける粗利管理とは