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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|量販店と取引する卸業者に必要な機能

SL大学2023.10.17

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

量販店と取引する卸業者にシステム導入を行う場合の注意点をまとめます。

量販店物流を知ろう

量販店は「本部が大量購入して各店舗に振り分ける」のが基本形態です。たとえばスーパーの精肉売り場に並ぶパック肉の場合、

【量販店本部】 食肉加工業者に100パック発注(アウトパックまで依頼)
【食肉加工業者】100パック製造→物流センターに出荷
【物流センター】100パックを店舗別に振り分け→各店舗に出荷

のような物流になります。
絵にするとこんな感じ↓ ※必ずこうなるわけではない、物流センターも挟んだり挟まなかったり。

量販店取引で発生する特徴的な業務

上図を前提に、量販店と取引する卸業者の業務内容・システム設計の注意点をまとめます。

EOS受注

量販店の多くはEOS注文を行っており、やり取りするデータ様式を全業者共通化するため、流通BMSを採用する量販店が多いかと思います。こういったケースでは、卸側は自社の受注システムでEOS注文内容を確認・処理します(相手の発注システムと自社受注システムが直接繋がってるイメージ)。

この仕組みでは、データ取り込み・受け渡し用のI/F構築が必須です。流通BMSといえども、データ項目や処理ルールは量販店ごとに異なります。取引する量販店の数だけI/Fを作らなければならず、あまりにハードルが高すぎるため、少量取引などではFAX注文とする場合もあるようです。

また、Web-EDI(ブラウザで操作するタイプのEOS、受発注プラットフォームサービスなど)を採用する量販店も増えており、このケースでは卸側はブラウザで指定URLにアクセスして注文内容を確認し、注文データをCSV出力する流れになります。そのCSVファイルを自社の受注システムに取り込むので、こちらも結局取引する量販店の数だけI/Fが必要です(それか手入力)。

出荷時の店舗別仕分け

量販店物流では、どこかで必ず店舗別に仕分ける作業が発生します。物流センターでその余裕がない場合、センターに入る前に仕分けておかなければなりません。そのときは出荷する卸側が、店舗別にピッキングや仕分けを行います(このあたりの方法論は物流ノートを参照)。当然、仕分けした箱やサンテナには行き先の店舗名を表示しておかないとセンター側が困るので、そのための荷札シールなども発行・貼付します。

尚、物流センターで店舗別仕分けを行う場合は「X物流センター宛てに●パック」というピッキングだけでOKです。場合によって、出荷伝票として店舗別仕分けリストをドライバーに渡したりします。

チェーンストア統一伝票(CS伝票)

量販店向けの売上伝票は、基本的にCS伝票を使用します。売上伝票に打ち出すデータを準備するのは通常、売り手側ですが、CS伝票については買い手(量販店)がデータを準備するのが大きな特徴です(このデータがEOS)。

買い手基準のデータ様式なので、「原単価/原価金額」が下代(小売にとっての卸値)を表し、「売単価/売価金額」が上代(小売金額)を表します。卸側から見た売上金額は、原価欄に表示しなければならないので注意しましょう。

EOS実績送信

出荷~伝票発行が終わったら、EOS注文データに対応する形で出荷データを量販店に返します(量販店はこれをもとに入荷準備を行うので全体合理化される、いわゆるSCM)。WebEDI型のEOSでは、特にI/Fを作り込むほど取引物量が無い場合には、出荷情報をブラウザに手入力することもよくあります。

請求・入金管理

大きな量販店との取引では請求処理も量販店主導になることがあり、卸側が請求書を発行するまでもなく、「御社からは今月これだけ買ったので来月末までにいくら支払いますね」という内容の書面(支払明細書)が送られてきたりします。卸側はその内容に間違いがないか確認するため、支払明細書と自社システム上の請求データとの突合せが必要です。この際、取引量によって値引きが発生することがあるので、リベート管理機能を設けておくとよいです(smartBPCでは標準機能)。

基本的には本部一括請求・一括入金ですが、稀に入金消込を店舗別に行うパターンがあり、その場合は入金管理機能で請求データを店舗別に振り分ける処理が必要です。


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