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SL大学|出庫・出荷の違いとシステム化のポイント~出庫編

SL大学2023.8.1

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

WMSでは、出庫機能と出荷機能を分けて構築することが少なくありません。各機能の違いを整理します。

出庫業務と出荷業務の違い

基本的には作業フェーズの違い

出庫業務と出荷業務の違いは、基本的には作業フェーズの違いのみです(下記)。今回は、物流倉庫における出庫業務の流れとシステム化のポイントについて説明します。

≪出庫と出荷の作業フェーズの違い≫
出庫:出荷するために商品を棚から出す
出荷:出庫後、倉庫から商品をトラックなどで運び出す

補足として、受入れ時は入荷か入庫どちらかのタイミングで仕入計上を行いますが(別ノート参照)、払い出し側では出荷完了をもって売上計上することはあっても出庫で売上計上することはほぼありません。その代わり、お客様への納品完了時に売上計上するケースがあります(運送会社から配送完了情報を受け取って判断するなど)。

出庫の3大作業とは

出庫は、大きく以下3つの作業に分類できます。また出庫の付帯業務として、流通加工(のし付け、セット品組み、梱包、名入れなど)が発生することも少なくありません。この場合は出荷指示にて加工内容が指示され、②と③の間で加工作業を行うのが一般的です。

≪出庫の3大作業≫
①引当
②ピッキング
③仕分け

出庫作業の流れ

出庫の3大作業別に、作業内容を整理します。

①引当

先入先出を原則に、荷主から出荷指示された商品をどの棚からいくつ出すのか決定し、在庫を仮押さえ(引当)します。よくある引当ルールとしては以下の通りです。

■ ロット指定:荷主が出荷ロットを指定する
■ 賞味期限ルール:前回納品時より古い賞味期限を納品しないようにする
■ 納品先専用在庫:あるロケの在庫は特定の納品先に出すもの、と決まっている

引当時の注意点は、帳簿上の欠品がある場合です。倉庫の対応としては、在庫がある分だけ出すのか、欠品分の入荷を待って出荷するか、基本的に荷主に指示を仰がなければなりません。欠品は荷主にとって販売機会の損失にかかわるため、そのあたりのスムーズな運用がポイントとなります。

②ピッキング

引当された結果(出庫指示)をもとに、庫内作業者が人力やフォークリフト等を使って実際に棚から商品を集めていきます。ピッキングの方法は大きく2通り存在し(下記)、商品特性/荷量/商品の扱いやすさ等によって使い分けるのが効率化のカギです。

■ トータルピッキング
→引当結果を決められたグループ毎に集約し、いったん総量を棚出し。その後、出荷する単位(納品先別など)に仕分ける。
■ シングルピッキング
→はじめから出荷する単位(納品先別など)で棚出しする。

尚、ピッキング時にも欠品が発生する場合があります(現物欠品)。発生理由としては、帳簿と実在庫がズレている、ピッキングした商品が出荷できる状態ではない(破損・汚損)などが挙げられます。作業者がロケに行って初めて気づく欠品なので、事務所への報告を確実に行わなければなりません。報告漏れは誤出荷に繋がる恐れもあるため、欠品報告のタイミングやルール整備がポイントです。

③仕分け

トータルピッキングしたものを、納品先別などに仕分け(シングルピッキング)していきます。仕分けでは、下記2つの方法を適切に使い分けて作業を行っていきます。

■ 種まき式
→商品をもって、仕分け単位ごとの什器(オリコン・カゴ車・パレットなど)に入れて回る
■ 摘み取り式
→仕分け単位ごとの什器(オリコン・カゴ車・パレットなど)をもって、商品をとって回る

出庫作業を効率化するには

上記を経て、仕分けられたモノを出荷場に持っていくまでが出庫作業の流れです。出庫作業では、①~③の作業をいかに効率よく、かつ正確に行うかが重要になります。

出庫の効率化は、後続作業(出荷や輸配送)まで見越して設計しなければなりません。たとえば店舗納品する場合と物流センター納品する場合では、仕分け・荷揃えの単位、ひいては棚出しの在り方が異なります。出庫作業の前提条件には、配送形態(宅配・チャーター・混載・共配便など)も影響するでしょう。これらの全体設計を行ったうえで、1つ1つの庫内作業をデザインしていきます(下記)。

≪庫内作業をどう効率化するか≫
■ どう作業分担すれば、棚の混雑や無駄な移動や減らせるか?
■  納品書や送り状などの同梱物を、どの順番・タイミングで印刷すればよいか? など


≫関連ノート:入荷・入庫の違いとシステム化のポイント~入荷編
≫関連ノート:入荷・入庫の違いとシステム化のポイント~入庫編
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