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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|温度帯・在庫管理単位の変更とシステム対応

SL大学2023.7.18

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

在庫管理において、帳簿在庫の調整処理が必要なパターンがいくつかあるので、まとめます。

在庫保管中に商品情報が変化するケース

帳簿在庫は、入荷時に入庫する商品情報(品名・賞味期限・温度帯など)と数量を記録し、出荷時に出庫数量をマイナスしていくことで「現在どの在庫がどれだけあるか」を表します。原則、在庫情報が動くのは入出荷発生時ですが、商品情報や数量/重量が在庫保管中に変化することがあります。在庫情報が途中で変わるパターンは、おおよそ下記のとおりです。

パターン①:実在庫の管理方法を変える
■ 保存方法の変更(チルド→フローズンに温度帯変更するなど)
■ 在庫管理単位の変更(セット商品を分解して単品商品にするなど)

パターン②:実在庫の予期せぬ動き
■ 出切れ時の重量誤差(バラ出荷で出切った際に残存重量が発生したなど)
■ あるはずの在庫が見当たらない(記録漏れや盗難など)
■ 在庫廃棄

それぞれの作業概要とシステム対応のポイントについて、順に見ていきましょう。このノートでは、パターン①について纏めます。

保存方法の変更

保存方法(温度帯)を変えるケースとは

国産牛は成育コストが高いため、高単価で販売できるチルド流通が一般的です。しかし販売の目途が立たない場合には、販売前の賞味期限切れを防ぐために凍結をかけ(チルド→フローズンへの温度帯変更)、賞味期限を延ばします。いわゆるチルフロです(このあたりの話は別ノート参照)。

システム対応のポイント

smartBPCでは、チルフロの「形態変更入力」を行う仕様としています。一般的に凍結ラベルの貼付が必要になるため、入力のタイミングは “凍結前” です(業務フローは下記)。

凍結する在庫ロットNo.をメモ
→ロットNo.を指定し形態変更入力実施 ※ここで新しい温度帯(チルフロ)や賞味期限を設定
→凍結ラベルを発行
→ラベルを在庫に貼付して冷凍倉庫に入庫

形態変更入力について補足すると、凍結と同時に複数ロットを1ロットに纏めることも有り得るので、そのあたりの考慮は必要になります(1ロットで入荷日や仕入先を複数持つことになる、その場合当該ロットの仕入先を自社に設定するなどの運用を検討)。また、同じ商品でも温度帯によって商品コードを使い分けるケースでは、商品コード自体の変更処理まで考慮しておかなければなりません。

在庫管理単位の変更

在庫管理単位を変更するケースとは

たとえばある一次卸から『ももセット1ケース/30kg』を入荷すると、ケースの中には「うちもも」「しんたま」「そともも」がそれぞれ1本ずつ入っていたりします。これをケースごと販売する場合は『ももセット1ケース/30kg』を帳簿から引き落とすだけですが、たまに「うちもも1本だけ」といった販売も発生します。そうなると、在庫の表し方を変える必要が出てくるのです。

システム対応のポイント

この場合、『ももセット1ケース/30kg』という在庫情報を「うちもも1本/10kg」「しんたま1本/10kg」「そともも1本/10kg」という情報に書き換える処理が必要です。smartBPCでは、「在庫調整入力」で在庫を分割処理する仕様としています。

在庫調整入力(組み替え)で対象の在庫No.を指定
→分割ケース数を指定(この例では“1”)
→分割後の数量を変更(この例では“3”)し、各部位の商品コードと重量を設定

在庫調整入力について補足すると、在庫残10ケースのうち、1ケースだけばらす場合もあるのでそのあたりの考慮も必要です。またsmartBPCの在庫調整入力では、ケース在庫のばらし処理だけでなく、複数ロットを1ロットにまとめる(セット商品を作るなど)処理にも対応可能としています。


≫関連ノート:出切れ時の重量誤差、在庫紛失/廃棄のシステム対応
≫関連ノート:取り扱い商品でシステム要件はどう変わるか