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SL大学|消費税に関する基礎知識~仕入税額控除

SL大学2023.9.12

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

インボイス制度対応に必要な「消費税に関する基礎知識」を、分かりやすくまとめるシリーズ。(先に消費税の仕組み編を読むことを推奨)

納税時の仕入税額控除とは

流通過程で、消費税の二重徴収が発生する

別ノートにまとめたとおり、消費税の仕組みは、「事業者が代金徴収と同時に消費税もいったん徴収して預かり、それをまとめて国に納税する」というものでした。1つ具体例を挙げてみましょう。

消費者であるAさんが、スーパーで1箱100円のクッキーを買い、消費税8円をスーパーに支払います。スーパーはその8円を国に納税する、というのがここまでの理屈ですが、実際はそう単純ではありません。これには、モノが流通する過程を理解する必要があります。

例えばスーパーは、お菓子メーカーからクッキーを “買っています”。話を分かりやすくするためにこのときの価格を100円としましょう。当然、スーパーはお菓子メーカーに対し、消費税8円を支払います。この時点で、同じ商品に対して消費税8円の徴収が二重に発生していることになります。

仕入税額控除は、消費税を二重徴収しないためのルール

この、消費税の二重徴収を防ぐ仕組みが「仕入税額控除」です。

簡単に言えば、スーパーはAさんから消費税を8円預かりましたが、お菓子メーカーに同額の消費税を支払っているので、仕入税額を差し引く(控除する)とゼロになります。Aさんが支払った8円はお菓子メーカーが国に納付する(スーパーは納付しないので二重徴収にならない)、という仕組みです。厳密には、お菓子メーカーは材料をどこからか “買っている” ので、消費税8円の納付には結果的に複数の業者が関わっている、ということになります。

実際の実務処理としては、1年間の売りの消費税額から仕入れの消費税額を控除して、納税する消費税額を算出します。

インボイス制度は、仕入税額控除に関する制度

さて、「仕入税額控除」の話で一緒に語られるようになったのが、インボイス制度です。インボイス制度は請求書様式に関するルール変更に目が行きがちですが、この制度の根幹は「この会社に支払った消費税は控除できないよ」という新設ルールにあります。「この会社」というのは「消費税を国に納税していない業者=免税事業者」を指します(免税事業者については自分で調べよう)。

上記の例でいえば、仮にお菓子メーカーが免税事業者だった場合、スーパーが8円を国に納税しなければならない、ということです(お菓子メーカーに8円支払ってるのに)。そうなるとスーパーが不利になってしまうので、スーパーはそのお菓子メーカーに「消費税は請求しないで」と実質の値下げ要請をしたり、課税事業者のお菓子メーカーに仕入先を乗り換えるなどの対応を取ることになります。


≫関連ノート:消費税に関する基礎知識~消費税の仕組み
≫関連ノート:消費税に関する基礎知識~消費税計算