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SL大学|消費税に関する基礎知識~消費税計算

SL大学2023.9.13

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

インボイス制度対応に必要な「消費税に関する基礎知識」を、分かりやすくまとめるシリーズ。(先に消費税の仕組み編仕入税額控除編を読むことを推奨)

消費税計算の基礎知識

売上伝票作成では通常、数量×単価で算出した売上金額に対し消費税率を掛けて、税額計算します。

消費税率

税率の種類は、現在の税制では「10%(標準税)」「8%(軽減税)」「0%(課税なし)」のいずれかです。消費税0%については「不課税」「非課税」「免税」と3種類の言い方があり、それぞれが指すものは異なりますが(詳しくは自分で調べて)、計算ロジックはすべて同じとなります。これらは商品単位で決まることなので、システム上は商品マスタでコントロールされます。

消費税を計算するタイミング

消費税を計算する=売上金額に税率を掛けるタイミングは、①明細単位、②伝票単位、③請求単位のいずれかです(明細のまとまりが伝票で、伝票のまとまりが請求書)。BtoB取引では、どのタイミングで消費税計算を行うかを取引開始時に決めるのが一般的で、②が採用されるケースが多いかと思います。

どのタイミングで計算するにしろ、税率を掛けると当然端数が出たりするので、その端数処理ルールも企業間で予め決めておきます。これらはすべてシステムの取引先マスタにてコントロールされます。

尚、インボイス制度で「消費税の端数処理は、1インボイス(請求書)につき税率毎に1回ずつ」という新しいルールが設けられたため、①は実質NGとなりました。ちなみに②を採用して請求書をインボイスとする場合は、各伝票の消費税額を積算するだけなのでOK(端数処理が発生しない)。

内税or外税

BtoBの伝票は、数量×単価で算出した売上金額(の総計)に対し上記いずれかの税率を掛けて算出するパターンが一般的ですが、稀に「税込み単価」を使用するケースも存在します。前者が外税、後者が内税です。BtoBでは、外税or内税表示のどちらを採用するかを取引開始時に決めるのが一般的で、システム上は取引先マスタでコントロールすることになります。

尚、別ノートのとおり、内税を採用した場合でも商品代金と消費税の切り分け処理は必要です。

消費税は原則、販売側の計算結果が絶対

取引が発生すると、売った側は売上登録を行い、買った側は仕入登録を行うことになります。当然この2社が使っているシステムは異なるので、例えば端数処理の計算ロジックが細部まで完全一致しているとも限らない点に注意が必要です。

上記の通り、消費税額というのはシステムで自動計算するのが普通であり、それぞれのシステムで売上/仕入の取引明細を登録した結果、はじき出された消費税額が1円単位でズレることが起こり得ます。こういった場合は販売側の計算結果を正として扱うのが一般的で、これに対応するため、仕入登録画面の消費税部分は自動計算された結果を変更入力できるようになっています。

消費税まわりのシステムを設計するときの視点

別ノートにて、消費税の仕組みを背景とした情報システムの位置づけを説明しました。上記は消費税計算の基本なのでどの事業者にも共通する内容ですが、計算した結果をどのように蓄積していけば良いかは事業者によって異なります。消費税まわりのシステムを設計するにあたって我々が持つべき視点は、「企業や税理士が会計手続きを行うために、このシステムでどんなデータを出さなければならないか(または出せばよいか)」です。たとえば、

▪ 免税事業者との取引は2-3社なので、1年間の課税仕入高と消費税額を仕入先別に集計する帳票があればあとは手計算する

のか、

▪ 会計システムにデータ投入(仕訳)する時点で、仕入れ時に支払った消費税(仮払消費税)を課税事業者と免税事業者で区分しておきたい

のか、といった要求の違いで、実装すべき機能やインボイス対応の改修範囲が変わります。さらに、インボイス対応については仮払消費税の経過措置対応などもあり、特に会計システムを扱う場合には税理士との打合せが必要です(免税事業者に支払った消費税額にどのタイミングで80%を掛けるか、端数処理はどうするかなど)。


≫関連ノート:消費税に関する基礎知識~消費税の仕組み
≫関連ノート:消費税に関する基礎知識~仕入税額控除