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SL大学SYSTEMLIFE-UNIVERSITY

SL大学|パックセンターの出荷業務とシステム企画

SL大学2024.5.13

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

量販店の精肉部門(パックセンター)にシステム提案する際のポイントを纏めます。

パックセンターとは

別ノートに纏めたとおり、パックセンターとはスーパーの精肉売り場に陳列されているパック肉を製造する工場のことです。パックセンターの受注~出荷の大きな流れは、量販店物流の回で示したイメージ(下図)に近く、規模によっては物流センターを介さずにパックセンターから店舗に直接配送されます。

上図の「食肉加工業者」が、パックセンターです。パックセンターにおける受注~出荷は、「生産計画」「生産実績収集」「仕分け・出荷」のプロセスで進みます。

生産計画

パックセンターはどのように生産計画を立てるか

生産計画担当者は、受領した全店舗分の発注データ(月間や週間)をもとに、「何日に、どの商品を、いくつ製造するか」を決めます。いわゆる受注生産ではありますが、たとえば豚バラスライスの注文数が「5/9に90パック、5/10に100パック」だとして、この通りに作ると「明日の納品分に10パック追加して」などの緊急発注に対応できなくなります。なので実態は、ある程度の予測バッファを含ませた「受注ベースの見込み生産」となるのが一般的です。

生産計画を機能範囲に含める場合

「生産指示(計画)入力」や「指示書発行」を組み込みます。指示入力では、発注データを取り込んで数量補正するイメージでも良いでしょう。パックセンターは生産工程はシンプルなので(カットのみ/カット+味付けのみ等)、複雑な工程管理やレシピ管理は不要と思いますが、もし必要なら生産管理システム導入が視野に入ります。需要予測ニーズがある場合、数量等の自動算出は難易度高めですが、前年/直近データを見せるだけなら実装しやすいです。

生産実績収集

パックセンターでの計量実績収集とは

パックセンターには、計量~パック包装~価格シール貼付を自動化する「計量包装値付け機」が設置されていることが多いかと思います。計量機は計量システムとセット販売が普通なので、計量実績データは計量システムで自動管理されます。価格シールに表示する品名や小売価格(定貫/不定貫区分含む)も、計量システム側でマスタ管理・制御されるのが一般的。ちなみに、計量システムに生産指示情報は持っていないため、生産指示データを連携させるか指示書バーコード入力が必要になります。

計量システムからの実績取り込みを行うかどうか

計量実績(生産指示に実績重量等が紐づいたデータ)を上位システムに取り込むかどうかは、要件次第です。たとえば出来上がったパック肉をいったん在庫する場合、実績データから入庫情報を拾えます。原料重量と照らし合わせて歩留率を見たい場合は、ライン投入時に原料重量を取得する仕組みを作ったうえで、上位システムに実績データを返します。出荷重量をもとに伝票発行しなければない場合も、実績データを活用することで業務省力化が図れます。

仕分け・出荷

パックセンターでは店舗やセンター仕分けが発生する

パック肉は、浅いプラスチックコンテナに入って各店舗に届くのが一般的です(日配品に多い流通形態)。遡ると、パックセンターが店舗別にコンテナ仕分けして出荷している、ということになります(全国展開するスーパーは地域の物流センターを経由させるので、物流センターで店舗仕分けすることもある)。パックセンターは、製品が出来上がったタイミングor倉庫から出庫したタイミングで、コンテナに行先タグ(店舗名や物流センター名を表示)を付けて、注文数どおりに振り分けていきます。

仕分け・出荷検品リストが必要

各店舗にどの商品をいくつ出荷するかについては、製造発注データ(の店舗別明細)のとおりなので、それをリスト化できれば検品リストとして使用可能です。ただ、トラックの方面別にリストを纏めて運用効率化したいとか、バーコード検品で誤出荷防止を図りたいなどの要求がある場合は、システムから出力する必要があります。システム内に店舗別発注データがあれば(生産計画機能を設けた等)出力は容易ですが、そうでない場合はどうにかして受注管理機能を作る必要があります。


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