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SL大学|出庫・出荷の違いとシステム化のポイント~出荷編

SL大学2023.8.14

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

WMSでは、出庫機能と出荷機能を分けて構築することが少なくありません。各機能の違いを整理します。

出庫業務と出荷業務の違い

別ノートにて、出庫業務と出荷業務の違いは、基本的には作業フェーズの違いのみであることを説明しました。まずは、先のノートにまとめた出庫作業の流れをおさらいしましょう。

≪出庫の3大作業≫
①引当
②ピッキング
③仕分け

ここまでで、商品を棚から出して出荷する全数が揃った状態です。次は、その商品を配送~納品に繋げるために「出荷作業」を行っていきます。

≪出荷の3大作業≫
⑥検品
⑦梱包
⑧積み込み・切り離し

出荷フェーズでのミスは商品の誤配送や破損汚損に繋がり、倉庫側の信用低下だけでなく、お客様側の機会損失を招きかねません。そこで重要になるのが⑥の検品作業です。出荷検品にはいくつか種類があるのでまとめます。

出荷検品の種類

個口検品/梱包検品

通販や店舗向けの出荷では、ケース単位ではなくバラ単位で仕分け・出荷することが多くなります。そこで発生するのが、バラ品を段ボール(通販出荷時)やオリコン(店舗出荷時)に詰め合わせる作業。ここでのミスを防ぐのが個口検品/梱包検品です。納品書や仕分け指示書と、商品外装のJANバーコードなどを使って、梱包する商品アイテムや数量のチェックを行います。
防げるミス:数え間違い、アイテムの詰め間違い

出荷検品

最もポピュラーな検品方法。出荷検品リストをもとに、納品先別/商品別に出荷ケース数を全数チェックします。ケース外装のバーコードを使って検品することが多く、上記バラ梱包を行った場合は、段ボールやオリコンに貼付したバーコードラベルを使います(中身の梱包情報はシステム管理)。出荷検品が終わると、什器(カゴ車やパレットなど)に積み付けます。
防げるミス:ケース単位での数え間違い、アイテム間違い

※補足:これを省く代わりに、循環棚卸(当日荷動きがあった棚だけなど)で残数チェックする事業者もある。そちらのほうが作業量が少ない場合に有効だが、やってることは事後確認である点に注意。

積み込み前検品

輸配送時に、カゴ車やパレット単位で荷役(数や宛先確認)を行う場合に有効。上記で準備した段ボールやオリコンをカゴ車等に積み付けたら、カゴ車単位(=宛先単位)で積み付け内容が正しいかをチェックします。カゴ車に店舗ラベルを貼付してバーコード検品することも。ここまで完了したら、集荷トラックが到着次第すぐに積み込みできる状態となります。
防げるミス:誤納品(納品先間違い)、荷合わせミス

積み込み検品

トラックに正しく積み込むためのチェックです。ここで言う「正しく」とは、カゴ車等の宛先や数だけでなく、積み込む順番も含まれます。出荷担当者やドライバーによる判断の属人化を解消するため、ハンディにてカゴ車チェック+積み込み順指定(荷卸しの逆順)しながら検品するやり方も増えてきた印象です。積み込み後は、納品書を準備して切り離し(出荷)となります。
防げるミス:積み込み漏れ、積み込み間違い

積み卸し検品

積み卸しリストなどをもとに、納品先別に荷卸しするカゴ車や数をチェックします(ハンディやスマホを使用するケースもある)。
防げるミス:ドライバーによる卸し忘れ、卸し間違い

検品を効率化するには

上記すべての検品を実施すれば出荷品質はかなり高まりますが、ネックとなるのは検品にかかる手間やコストです。この問題については、RFIDやロボット仕分けなどを活用することで、品質と省人化を両立できると考えられます。実現できれば、人手不足といった物流課題の解消だけでなく、物流倉庫側の付加価値アップ・競争力アップに繋がるでしょう。

ただ、マテハン機器も年々進化しているとはいえ、考えなしに導入して効果が得られるわけではありません。改善するポイントを見つけ、業務全体をデザインしたなかに「マテハン活用」が手段としてあるだけです。改善ポイントを見つける方法としては、誤出荷の原因(ミスの発生箇所)調査、手戻りにより発生したコストや検品にかかるコストなどを調査し、総合的に判断すると良いかと思います。


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