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SL大学|在庫管理機能を設計するときの注意点まとめ

SL大学2023.12.11

こんにちは、システムライフ(SL)大学です。SL大学とは2022年に立ち上がった社内教育機関で、毎月勉強会を開催しています。その一部を学習ノートとして公開いたします。

システムライフ大学

在庫管理機能(入荷/出荷/返品/棚卸)を設計するにあたっての注意点をまとめます。

最初に在庫管理の課題を設定せよ

そもそも論として、在庫管理の質が悪いとどんな問題が起きるのかを考えてみましょう。

・在庫が合わない
・過剰在庫を持ってしまう
・欠品が発生する
・賞味期限切れなど、不良品を生む原因になる
・万が一の場合の追跡(トレーサビリティ)が行えない
・誤出荷や誤納品が増える

在庫管理で達成すべき要件とは

在庫管理システムを導入するからには、これらの問題が起きるのを防がなければなりません。具体的には、以下のような課題を設定したうえで、これを満たす機能や運用の設計を行います。

・在庫数を正しく把握する(定期的に棚卸を行い、早い段階で差異を見つけて実棚に合わせる)
・入出荷の実績を正確に管理する
・正しく在庫引当できる仕組みを作る(先入れ先出しなど)

機能設計時の注意点まとめ

業務ヒアリングでは下記のポイントを確認しつつ、取扱い品目、得意先の業種業態、管理手法(ロット管理/温度管理/棚の種類/什器など)をブレークダウンしてヒアリングしていきます。

在庫を管理する単位

一般的な物流倉庫では、実際の荷姿にかかわらず総バラ数で管理する場合が多いですが、要件によっては、ケース数/ボール数など荷姿毎の数量を把握することも求められます。数量に小数桁があるかも確認が必要です(長さ/重量/容積で管理する場合に小数が発生しがち)。

在庫属性(在庫ステータス)を持たせる

在庫に【廃棄】【不良】【検査中】などの属性(在庫ステータス)を持たせて、出荷できる/できないを区別する場合があります。事後処理型のシステムフローでは入力忘れの原因になるため(出荷遅延や機会ロスのリスク)、作業とシステムへの反映が同時に行える仕組みにしておくのがポイント。

品番振替への対応

在庫の品番を振り替える処理が必要な場合があります。どのようなときに在庫の品番が変わるかというと、得意先向けに流通加工を行う場合(流通加工については別ノート参照)や、セット組み(複数品目をセット組みして1商品とする)/セットばらし(セット組み商品をばらして2~3商品とする)のタイミングです。

持出し/貸出し在庫への対応

扱う品目によっては、展示会場への持ち出し/お客様へトライアル貸し出しなど、「倉庫内に存在しないけれども棚卸では在庫として計上する」といった業務が発生します。出荷リストを作って検品などは行いますが、引き落としをかけるのではなくステータス管理するような考慮が必要です。

車中在庫/積送中在庫への対応

倉庫間移動では、車に乗せている商品(移送中の商品)も棚卸で在庫計上します(倉庫間移動の詳細は別ノート参照)。納品先に向けて積送中の在庫については、出発側/到着側のどらちの在庫とするかが予め取り決められているため(出荷日基準or到着日基準)、ヒアリングで確認しておきましょう。


≫関連ノート:物流の役割をサプライチェーンからひも解く
≫関連ノート:「在庫が合わない問題」に対処するには
≫関連ノート:ロケーション管理の必要性と注意点
≫関連ノート:返品機能を実装するときの注意点
≫関連ノート:棚卸方法まとめ
≫関連ノート:倉庫間移動の前提知識&機能要件
≫関連ノート:適正在庫とは何か