ピッキングミスの原因と対策5つ~大幅削減のカギはWMS導入

物流業界向け

ピッキングミスによる誤配送は余計な作業とコストを増やし、顧客からの信頼低下を招きます。作業者への注意喚起だけでは100%の改善は難しく、頭を悩ませている倉庫管理者も少なくありません。ピッキングミスを防ぐには、ミスの原因を把握し、適切な対策を取ることが大切です。今回は、ピッキングミスが起きるシチュエーションと、5つの対策について解説していきます。ピッキング作業の見直しを図る際の参考にしてみてください。

ピッキングミスが発生しやすい場面とは

まずは、ピッキングで人的ミスが発生しやすい場面を考えてみましょう。

類似品のピッキング

よくあるピッキングミスとして、色やサイズ、新旧商品など類似品の見間違いによる商品の取り違えがあげられます。品番や商品ラベルの記載内容だけで違いを判別しなければならない商品は間違えやすく、目視検品を行う倉庫で特に発生しがちなミスです。

商品数の数え間違い

入り数の確認不足や箱単位の個数超過/不足により、誤った商品数で出荷してしまうことがあります。トータルピッキングで棚出しした商品を店舗別に仕分ける場面などで、発生しやすいミスです。

同梱品などの指示見落とし

ピッキングリストに記載されている情報が多い場合に起こりがちなのが、指示内容の見落としです。特に同梱品などは補足的に表示されていることも多く、作業者が視認しづらかったり、「入れたつもり」の勘違いが発生しやすくなります。

賞味期限の確認漏れ

賞味期限や消費期限、使用期限のある商品を扱う倉庫では、納品先ごとに「期限が○日以上残っている商品しか出荷できない」といったルールが決まっていたりします。そのあたりの指示や確認が不十分だと、期限切れ商品を発送してクレームに繋がりかねません。異なった期限の在庫が混ざり合った状態で管理されていることは多いので、ピッキングミスが発生しやすいポイントと言えます。

ピッキングミスが減らない原因

ピッキングは人が行っている以上、ヒューマンエラーのリスクは避けられません。人間ですから、どんなに注意していても気の緩みは生じるものです。作業環境が悪いまま作業者の注意力に任せているだけでは限界があります。ただ注意を促すだけでなく、ミスがなぜ起こるのか、原因をつきとめてミスを防ぐ環境や仕組み作りが大切です。

例えば、見た目が似ている商品の保管方法に工夫がない、消費期限がバラバラの商品が混ざった状態で保管されているなど、庫内環境や運用ルールに原因が潜んでいるケースもあるでしょう。ピッキングミス対策は、ミスが起こりにくい仕組みづくりから行うことが大切です。

ピッキングミスの対策5つ

ピッキングミスを防ぐ仕組み作りとして、具体的な対策を5つご紹介します。

ロケーションの見直し

類似品は離れた場所に保管し、棚を見渡しやすいレイアウトにするなどロケーションを工夫してミスが生まれにくい環境を作ります。また出荷頻度や商品の品目を考慮し、ピッキング中に迷わない設計にすることも大切です。

ピッキングリストの改善

ピッキングリストを見直し、改善できる点を探しましょう。たとえば在庫の保管場所やピッキングルートに合わせて上から順に表示すると、作業者が迷わずピッキングできるようになります。心の余裕が生まれ、ミスの軽減につながるはずです。また必要最低限の情報を見やすく記載する、重要な情報を目立たせるなどレイアウトを工夫することで、情報の見落としリスクなどが減らせます。

ピッキング作業のルール作り

担当者が独自ルールでピッキング作業を行うと、作業精度にばらつきが生じるため、ピッキング方法はルール化するのがベターです。ミスが発生しにくいピッキングの仕組みを整えてマニュアルを作成するなど標準化していきましょう。

情報共有の仕組み作り

保管場所や注意点など変更が生じた際は、作業員全員に必ず周知し、誰もが同じ環境で業務できる状況にしておかなければなりません。ピッキングミスが発生した際も、どのようなミスがどんな状況で起こったのかを全員に周知して、再発防止に役立てるとよいでしょう。

ハンディ検品の導入

人的ミスが起こりやすいのは、目視確認や転記作業時です。それを防ぐには、バーコードとハンディターミナルの活用が効果的です。バーコードで商品情報を読み込みパソコンに自動送信する、誤ったバーコードを読み込むとエラー表示されるなどの機能があるため、ピッキングミスの削減効果は絶大と言えるでしょう。入数をバーコードで自動入力するなど、用途に応じた運用も可能です。

ピッキングミス削減には、倉庫管理システムが効果的

ピッキングミスが多発し大幅な改善が必要な場合は、倉庫管理システム(WMS)の導入が有効です。

多くの倉庫管理システムにはハンディ機能が標準でついており、ハンディ画面に作業内容やロケーションを表示するほか、商品や数量のミスを警告で知らせてくれる機能も搭載されています。ピッキングリストの最適化も簡単です。リストに保管位置や同梱品を表示するだけでなく、導線を考慮して並び順をコントロールできるため、作業者が迷わずに済みエラーリスクが減ります。

目視作業では人的ミスをゼロにすることはほぼ不可能であり、ダブルチェックをかけるにもさらなる人手が必要です。そういった点で、倉庫管理システムの導入は、人手や時間を節約しながらミスが起こりにくい仕組みをつくるための最善策といえるでしょう。

まとめ

ピッキングでは、類似商品の取り違いや数量間違い、同梱品の入れ忘れといったミスが起こりがちです。消費期限などを扱う倉庫では、期限切れ商品を発送してしまうケースもあるでしょう。

ピッキングミスの原因は作業員の不注意だけではなく、ミスが起こりやすい作業環境にもあります。倉庫のロケーションやピッキングリスト、作業ルールなどを改善してミスが起こりにくい仕組みづくりが大切です。

最も効果的な対策としては、倉庫管理システム(WMS)の導入があげられます。ハンディ端末を活用すれば、警告機能などによってピッキングミスを大幅に削減できるでしょう。課題の内容によっては、WMSではなく在庫管理システムを導入したり、両方を併用してデータ連携するのが最適解の場合もありますので、ベンダーと相談してよくよく検討することが大切です。

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