ロット管理のメリットと課題|トレーサビリティを効率化する方法も

物流業界向け

大量の製品を製造・販売している企業では、「ロット」と呼ばれる単位を用いて在庫管理を行うことが一般的です。ロット管理を行えば、在庫管理の効率化はもちろん、トレーサビリティの確保にも繋がります。今回は、ロット管理の基礎知識、メリットと課題、トレーサビリティとの関係性について解説します。

ロット管理の基礎知識

まずはロット管理の基礎知識を解説します。

ロットとは

ロットとは、「製品の属性でグループ分けされた纏まり・単位」です。ロットをどのようにグループ分けするかは、製造側が原価計算や製造プロセスなどを考慮して決定したり、取引先と調整して決めたりします。

1ロットあたりの数量に決まりはありません。一般的には、同じ条件下で一度に製造/取引される製品に同じロット番号が割り振られ、原則そのロット番号をキーとして物流管理していきます。

ロットの種類

ロットには、主に以下の3種類があります。

① 製造ロット

製造ロットは、無駄のない計画的な製造を目的として製造側が製造都合で定めた単位です。製造指示や実績管理、それに連なる在庫管理や製造コストの最適化を目指すうえで必要な単位になります。

② 購買ロット

購買ロットは、流通過程において事業者間で受発注するときの単位です。製造ロットとイコールになることもあれば、製造ロットを小分けした形になることもあります。製造側の過剰在庫が発生しそうな時に購買ロットを大きくするようなケースもみられます(その代わり単価を下げる)。

③ 保管ロット

保管ロットは、在庫管理や入出荷を効率よく行うための管理単位です。基本的には購買(納品)ロットとイコールですが、小分け出荷する場合などでは入荷商品をまとめ直したります。保管途中でロットを分割することもあります。

ロット管理でトレーサビリティ対応が容易になる

ロット管理では、製品に割り当てたロット番号を活用して、製造から出荷、販売に至るまでの流れを一元管理します。つまりトレーサビリティ(在庫追跡)対応が容易になる、ということです。

近年、消費者の安全意識の高まりなどを背景に、物流現場では「いつ、どこで、だれが、どうやって製品に関わったか」を明確にすることが求められています。取引先や行政からトレーサビリティ対応が求められる場合もあるでしょう。

ロット管理を実施できていれば、不良品などのトラブルが起きたときにロット番号を追跡することでトレーサビリティを確保でき、事業者としての社会的責任を果たせます。

ロット管理のメリットと課題

ロット管理はトレーサビリティ対応の根拠になるなど様々なメリットがある反面、導入時に注意しなければいけないポイントもあります。ロット管理のメリットと課題についてみていきましょう。

ロット管理のメリット

ロット管理の3つのメリットを紹介します。

① 在庫管理の効率化・コスト削減

1つ目のメリットは、在庫管理の効率化とコスト削減が期待できることです。ロット番号に入り数・製造日・入出荷日・消費期限といった製品情報を紐づけることで、現場はロット単位での業務運用が可能になります。在庫管理業務の効率が上がり、人件費や廃棄処分といったコスト削減にも繋がります。

② 迅速なトレーサビリティ対応

2つ目のメリットは、迅速にトレーサビリティ対応ができることです。ロット管理を行うことで、出荷後にトラブルが起こっても、ロット情報を追跡する「ロットトレース」が可能になります。該当製品の所在やトラブルの原因究明に速やかに着手できるほか、不良品の回収も容易になり、企業としての社会的責任を果たしやすくなります。

③ 在庫コントロールの適正化・売上向上

3つ目のメリットは、在庫が適正化され、売上アップが見込めることです。製造数量や入荷数量をロット単位で把握することで在庫の見える化が容易になり、その結果、在庫過多などのロスや保管コストを削減することができます。庫内作業をロット単位で行うことになるので、入出荷効率がアップし、売上向上に繋がる可能性もあるでしょう。

ロット管理の課題

ロット管理を行うには、最初にロット分けのルールを決めなければなりません。システムでロット管理する場合、ルールを後から変更することは非常に難しいため慎重に検討しましょう。

在庫管理を精密に行うために、製品の属性を細かく分類して小さくロット分けすることも可能ですが、ロット管理では、在庫ラベルを貼付する手間やコストを考慮する必要があります。現場規模や人員、製品分類の複雑さによっては、これらの作業に大きな負担がかかることが課題のひとつです。

後で変更できないからと欲張らず、必要最小限の単位でロット分けを行うのがポイントです。

ロット管理には在庫管理システムが便利

ロット管理やトレーサビリティをより効率的に、正確に行うためには、在庫管理システムの導入をおすすめします。

在庫管理システムは在庫データを一元管理するシステムです。在庫管理システムを活用すれば、ロット番号と製品情報が自動で紐付き、ロット番号だけであらゆる庫内作業が行えるようになります。またロット番号で荷物追跡を行えるようになるので、トレーサビリティ管理に伴う手間や人的ミスが減り、顧客からの信頼性向上に繋がります。

ハンディターミナルを併用すれば、在庫ラベルの読み取り入力が可能になるため、作業時間や人的ミスの削減も期待できるでしょう。また、PC画面上でリアルタイム在庫の把握や共有が可能になれば、製造部門や調達部門との連携がとりやすくなります。在庫管理システムを導入する場合は、自社の目的に合ったものを検討すると良いです。

まとめ

ロットとは、製品群をなんらかの条件でグループ分けした単位のことです。主に、製造ロット、購入ロット、保管ロットの3種類があります。

ロット管理を行うと、製品の流れを一元管理できるようになり、在庫管理の効率化・コスト削減、迅速なトレーサビリティ対応、在庫コントロールの適正化・売上向上に繋がります。不良品が発生した場合など万が一のトラブルに、すぐに対応できるのもメリットです。

在庫管理システムを導入すれば、ロット管理とトレーサビリティをより効率的に行えます。ただし注意点として、ロット管理ではラベル貼付などの作業が発生するため、将来的な運用の手間を考慮してロット分けのルールを決めるのが大切です。

自社のニーズに合ったシステムを選び、効率的なロット管理を実現しましょう。

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