ピッキングを効率化する方法5つと、倉庫管理システムの導入効果

物流業界向け

物流において、ピッキング作業の効率化は、生産性向上を図るうえで重要なポイントです。しかし作業精度を保ちながらピッキング時間を短縮するのに難しさを感じる管理者様も少なくありません。ピッキング効率を悪化させる要因は何なのでしょうか。また、効率化のために何ができるのでしょうか。今回はピッキングを高速化するための5つのポイントと、効率化のカギとなる倉庫管理システム(WMS)について解説します。

ピッキングに時間がかかる原因

ピッキングの効率化を図るには、ピッキングに時間がかかってしまう理由をまずは突き止めなければなりません。ピッキングを手間取らせる主な要因として、以下があげられます。

人的ミスの発生

ピッキングは人が行う作業である限り、ヒューマンエラーは避けられないものです。ピッキングリストの情報を見誤ったり、似た商品と間違ったり、思い込みによる確認不足などもミスを生み出します。ミスが発生すると、作業のやり直しやデータ修正などのリカバリー業務が発生し、余計な作業負荷・時間がかかってしまいます。

倉庫レイアウトに無駄がある

倉庫レイアウトも作業時間に大きく影響します。作業動線が考えられていない在庫配置だと、ピッキング時の移動距離が長くなったり、通路のすれ違い待ちが発生したりするなど、少しずつタイムロスが生まれます。倉庫レイアウトの考慮不足で効率悪化を招いているケースは少なくありません。

在庫管理が適切にされていない

決められた場所に商品がない、品切れの商品が補充されていないなど倉庫内の在庫管理が整っていないと、ピッキング効率は悪化します。ピッキング中に在庫補充をしたり、そこにあるはずの商品が無く探しまわったりすることで、作業時間が無駄に長引くのです。そうして作業者の焦りを生み、人的ミスの誘発に繋がります。

ピッキングを効率化する方法

ピッキングを効率よく行うには、ピッキング効率の悪化原因にアプローチし、適切に対処することが大切です。ここではピッキングを効率化させる5つのポイントをご紹介します。

荷量にあわせてピッキング方法を使い分ける

効率よくピッキングするには、荷物の量によってピッキング方法を調整するとよいでしょう。具体的には、以下2つのピッキング方法を使い分けます。

トータルピッキング

トータルピッキングでは、出荷する商品をまとめて棚出しします(その後、配送先ごとに仕分け)。複数のオーダーをまとめてピッキングする場合、仕分け先ごとに同じようなピッキングルートを何度も通る必要がないので、移動の無駄が減るのがメリットです。デメリットとしては、棚出しした一度商品を仮置きして荷捌き(配送先別仕分け)するスペースが必要になる点があげられます。同じ商品を複数の店舗に出荷する量販店向け出荷などで、よく採用されています。

シングルピッキング

シングルピッキング=納品先別ピッキングです。納品先A向けの商品をすべてピッキングし、集め終えたら納品先Bのピッキングに移る、という流れになります。トータルピッキングの後に配送単位に仕分けする作業も、ある意味シングルピッキングです。ピッキングと同時に配送単位に仕分けをするため、仕分け用の作業スペースが必要ないのがメリットですが、配送先の数だけ倉庫内を歩き回るのがデメリットと言えます。通販向け出荷などでよく採用されています。

ピッキングリストの改善

ピッキングリストは工夫次第で、作業をスムーズすることができます。たとえばピッキング商品の表示順を、在庫の保管場所やピッキングルートに合わせて上から順に表示すると、導線の無駄がなくなり業務改善が図れるでしょう。プラスアルファとして、リストの見やすさや商品画像表示などで分かりやすさを盛り込むと、効率よいピッキングを後押しすることができます。

マニュアルを整備して教育する

作業員の熟練度によって作業効率が左右されないように、作業をマニュアル化し教育を施すことも大切です。商品の保管方法のルールも合わせて周知すると、ピッキングしやすい倉庫環境を保てます。

倉庫レイアウトの見直し

ロケーションを見直し、倉庫レイアウトを整えることで、ピッキング導線改善などに繋がります。たとえば出荷頻度の高い商品を入り口側に集めたり、ピッキングエリアとリザーブエリアを分けて移動範囲をコンパクトにするなどです。導線改善ができれば、作業効率はぐっとあがるでしょう。

倉庫管理システム(WMS)の導入

上記で上げた施策をより効率よく行うのなら、倉庫管理システム(WMS)導入が有効です。ロケーション管理機能などが搭載されているため、作業導線が考慮されたピッキングリストを自動作成できるほか、ハンディ端末を活用すればバーコード検品で人的ミスも減らせます。在庫管理精度も上がるため、ピッキングのみならず庫内業務の大幅な効率化につながるでしょう。

倉庫管理システム(WMS)導入の効果とは

ピッキングの効率化を目指す場合、倉庫管理システム(WMS)の導入がおすすめです。WMS導入でピッキングがどう変わるのか、詳しく見ていきましょう。

荷量に合わせたピッキング指示で人員配置を最適化

その日の荷量ごとにトータルピッキングとシングルピッキングを切り替えられるだけでなく、稼働人員に合わせて作業行数を指定(割り振り)することが可能です。効率的なピッキング方法の選定や柔軟な人員配置計画など、半自動的にピッキング作業の最適化が図れます。

ハンディ検品でピッキングミスや作業遅れを発見

ハンディ検品の最大の効果は、ピッキングミスの防止です。間違ったバーコード読み取ると警告が表示されるほか、同梱品やセットアイテムの表示で誤出荷が抑制されます。また、作業遅れなどもリアルタイムで可視化されるため、管理者側は進捗に合わせて人員調整をするといった対処がしやくなります。

ピッキングリストの工夫による作業高速化

ロケーション管理ができる倉庫管理システムを使えば、受注/出荷指示情報を登録するだけで、作業に最適なピッキングリストが作れます。品物が探しやすくなるほか、ピッキング商品の表示順を導線に沿って並べることができるため、ピッキング作業の高速化に繋がるでしょう。

まとめ

ピッキングに時間がかかる原因は、主に人的ミスや倉庫レイアウトの無駄、不適切な在庫管理にあるといわれています。ピッキングの効率化を図る際は、これらの防止・改善を図ることが大切です。

方法としては、出荷量などに合わせたピッキング方法の使い分けや効率的なピッキングリストの作成、倉庫レイアウトの見直しなどがあります。また、そういった改善策をトータルでカバーできる倉庫管理システムの導入も効果的です。

倉庫管理システムでは、最適なピッキングリストを自動作成したり、リアルタイムな作業進捗管理、ロケーション管理による標準化などが図れます。作業環境が改善されることで人的ミスが起こりにくくなるため、ピッキング効率も大幅にアップするでしょう。

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