自動配車とは~配送管理システムとの違いと、配車システムの選び方

運送業界向け

「配車システムを導入したい」配車をエクセル管理する事業者はまだまだ多く、配車計画作成に数時間かかるケースもあります。配車業務の効率化には配車システム導入が有効ですが、なかには自動配車を検討している担当者もいらっしゃるでしょう。この記事では、自動配車と配車管理システムの違いを解説するとともに、自社に最適な配車システムの選び方を解説します。

自動配車システムと配車管理システムの違い

自動配車システム配車管理システムは、ともに配車マンの業務を効率化するシステムという点で共通していますが、システムに任せる役割・導入の目的が異なります。

自動配車システムとは

自動配車システムは、熟練した配車マンが行ってきた配車計画作成(受注と車輌の割り当て、経路決定など)をコンピュータが自動で行います。自動配車のメリットはなんといっても、配車業務が時短されることと、属人的で替えのきかなかった配車マンの業務を平準化し、人的リソースを有効活用できることです。

しかしデメリットもあり、配車前の受注データ登録が必ず必要になるほか、車輌の割り当てや経路決定のための条件・ルール整備にかかる労力は決して少なくありません。

ほとんどの自動配車システムでは、自動配車結果を配車マンが確認し、最終調整することで配車最適化を目指します。配車条件やルール整備が不十分だとコンピュータの自動配車結果が当てにならず、結局人力で配車しなければならないのです。このため定期的な見直しが必要で、特にクラウドなどのパッケージソフトを利用する場合、自社業務に合っているかの見極めに失敗すると使い物にならないリスクがあります。

配車管理システムとは

配車管理システムでは、配車計画は従来どおり配車マンが行います。受注と車輌を割り当てる際は、エクセルソフトに入力する代わりにシステム画面で配車入力を行っていきます。この結果、注文と配車情報が一元管理され、配車漏れ防止や配車状況の見える化を図れるのがメリットです。

配車状況はガントチャートなどでビジュアライズされることが多く、運行ルートやスキマ時間などを把握しやすいのも特徴です。これらは配車最適化をサポートする機能であることから「配車支援システム」とも呼ばれます。

デメリットは、自動配車と同じく必ず受注データ登録が必要になる点と、自動配車に比べると人的判断要素が多く、良質な配車マンの確保が継続して必要であることただしこれについては、配車サポート機能が充実したシステムを選ぶことで、ある程度乗り越えられる可能性が高いと考えられます。

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自動配車の仕組みとは?

自動配車=AIと思われがちですが、必ずしもそのような仕組みで動くものばかりではありません。スクラッチ開発(オーダーメイドタイプ)の配車システムでは、自動配車ロジックを個別設計し、配車管理システムの補助機能として開発させて頂くことがあります。AI型とスクラッチ設計型の特徴を、それぞれ解説しましょう。

AI配車

AI配車では、運用開始前に配車条件や配車ルールを細かく検討し、予めシステムに設定しておきます。あとはその時々の受注情報と空き車輌情報をもとに、地図データから輸送所要時間を自動算出するなどの処理を経て、ベストな配車組みを自動判断する仕組みです。AIエンジンはベンダー各社で独自設計されており、パッケージごとに設定仕様が異なります。

≪事前に設定する条件や項目の例≫
車輌アサインに関する条件(積載量や稼働条件、エリア設定、混載可否など)
ドライバーの勤務時間に関する条件(休憩時間や日跨ぎなど)
走行ルートに関する条件(車輌の車幅や車高情報、有料道路などのコスト情報など)

スクラッチ設計型

配車管理システムの構築と同時に、独自の自動配車機能を開発します。配車時に考慮すべき要素がさほど多くなく、かつ固定化しているような場面で利用可能です。現行の配車要件に沿って自動配車ロジックを設計・実装するため、AI配車のように、事前に様々な条件を設定しておく必要がありません。

例えば商品車輸送などでは、最大積載台数が決まった車輌(キャリアカー)で、決まった路線(荷積み地―納品先カーディーラーなど)を運行します。このような場合の自動配車は、幹線ルートの一番遠い配送先から順に商品車を割り当てたり、前日の乗務時間が長いドライバーは標準時間の短い路線に優先的に割り当てるなどの配車ルールをプログラムに組み込むことで、最適な配車計画を自動作成することができます。

最終的には人が調整する

AI配車にしろスクラッチ設計型にしろ、自動配車結果を無条件に信頼し、配車確定することはほとんどありません。なぜなら配車マンは通常、発着地や車輌の空きだけでなく、荷台の空き状況や走行ルートの最新道路情報などあらゆることを考慮ながら配車しており、ルールだけでは完璧に再現ができないからです。自動配車結果を配車マンが確認し、微調整を入れることでようやく配車計画が完成します。

自動配車は、配車の最適化をサポートする機能ではあるものの、完璧な無人化を図る技術ではないことを頭に入れおく必要があります。いまのところの自動配車システムの意義とは、1から配車計画を練る手間を省くことや、配車品質の標準化にあるといえるでしょう。

配車システムの選び方

上記のとおり、自動配車の効果は、現時点ではまだ限定的です。配車システム選びでは、①配車管理システムによる合理化の程度を判断②配車の抜本的改善が必要な場合は自動配車システム検討、の順に検討を進めるとよいでしょう。

①配車管理システムによる合理化の程度を判断する

エクセル配車を行っている事業者が、配車システム導入による業務改善を図る場合、まず検討すべきは配車管理システムです。主要機能は「受注管理」と「配車管理」で、効率的な受注管理や配車を最適化するためのサポート機能はパッケージごとに異なります。様々なパッケージや提案内容を比較精査しながら、合理化の程度=業務課題の解決度合いを見極めていきます。

≪配車管理システムで解決できる業務課題の例≫
受注情報の一元管理(過去の注文データ、荷卸し先地図データなど)
配車ミス防止(重複配車や配車漏れ防止、ドラッグ&ドロップなどの単純な操作性など)
配車の最適化(ガントチャートなどによる配車の可視化、コスト割れアラート、地図データ連携など)
帳票作成業務の合理化(運送引受書や指示書、点呼簿の自動作成など)
実績/傭車管理の合理化(実績確定プロセス、基幹システムや運行管理システムとの連携など)

②配車の抜本的改善が必要なら、自動配車を検討

配車管理システムでは、ガントチャートや地図連携、アラート機能などによる「配車支援」までしか行えません。それだけでは不十分なケース、例えば、何時間もかけて配車計画作成を作成していたり、比較的繰り返し作業に近い配車業務に毎日人手を割かれているような場合は、自動配車を検討するのも有効な手段です。自動配車のテクノロジーはまだまだ完璧ではないため、以下のように用途に応じて効果的に使うことを弊社ではお勧めしています。

・一部の事業に対してだけ、自動配車を適用する
・仮配車処理を自動配車で実行する など

クラウドパッケージで採用されているAI配車を検討する場合は、自社業務(運送形態や運ぶ荷物など)との相性もあるため、よく比較検討することが大切です。AI配車との連携やスクラッチ設計型で、配車管理システムの補助機能として自動配車を設ける方法あるので、ベンダーに相談しながら広く情報収集するとよいでしょう。

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さいごに

エクセルによる配車管理には限界があり、配車業務の非効率や属人化を問題に感じている事業者さまは非常に多くいらっしゃいます。そのような場合に配車システムの導入は有効です。自動配車のテクノロジーはまだ成熟していないため完全な自動化は難しいですが、配車管理システムの導入や一部業務に自動配車を適用するなどすれば、事業課題を解決できる可能性があります。配車システムの検討・導入に、本コラムをお役立ていただけたら幸いです。

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