物流現場で誤出荷防止に使えるバーコードを解説

物流業界向け

「自社の検品業務を見直したい」デジタル化のスピードが他業界に比べて早い物流現場では、バーコード活用がいまだ不十分と感じている事業者さまは多くいらっしゃいます。この記事では、物流現場で検品に使えるバーコードを「入荷時点で印字されているもの」と「自社で発行するもの」にわけ、それぞれの特徴と利活用シーンについて解説します。

バーコード検品の基礎知識

バーコード活用のメリット

バーコードには、商品コード情報のほかにも様々な情報を持たせることができます。例えば、製造日や製造ロット番号、賞味期限や重量といった、流通の過程で必要になる情報です。当然、必要になる情報は業界や商品特性でケースバイケースですから、そのような情報交換プロセスが円滑になるのは、バーコード活用の最大のメリットといえます。

≪バーコードを活用するメリット≫
▪ バーコードスキャンだけで、データを瞬時に取得することができる
▪ キーボード入力する必要がないため、入力ミスが起こらずデータの信頼性が保たれる
▪ スキャンと同時にデータ照合できるため、出荷ミスなどを防げる

物流検品に利用されているバーコード

物流事業者は商品流通の只中にいるため、様々な情報を管理し、それをもとに正しくモノを動かさなければなりません。だからこそバーコード検品が求められてきたという背景があります。物流現場で検品に利用されるバーコードは、入荷時点ですでに印字されてされているバーコード自社で発行したバーコードのいずれかに分けられます。

① 入荷時点ですでに印字されているバーコード

メーカーやサプライチェーンの上流に位置する事業者が、予めパッケージに印刷しておいたり、物流効率を上げるために梱包ラベルに表示したバーコードです。ソースマーキングと呼ばれます。

JAN/ITF/GS1-128/QRコード/ 輸入品バーコード など

② 自社で発行するバーコード

入荷時点でバーコードが表示されていない、または、表示されているバーコードでは情報不十分な場合に、バーコードを自社で発行することがあります。インストアマーキングと呼ばれます。

自社管理ラベルバーコード/PDラベル・SCMラベルバーコード など

用途に応じたバーコード活用を

バーコードの種類は多く、格納できる情報量やルールが異なります。それぞれのバーコードの特性を踏まえ用途に応じて活用すれば、これまで以上の「業務時短」と「ミス抑制」が期待できるでしょう。

以降では、利用頻度が比較的高いバーコードの特性と利活用場面を解説しています。自倉庫の取扱商品と照らし合わせながら、ぜひ検品業務への活用をご検討ください。

入荷時点ですでに印字されているバーコード

JANコード

消費者として最もよく目にするのがJANバーコードです。メーカー製造時に商品一つ一つにソースマーキングされ、これを読み取ることで「どのメーカーの、どの商品か」が判別可能となります。小売店のPOSレジを通るバーコードなので、POSシステムを通じた販売分析や店舗在庫管理への活用が主ですが、物流倉庫でも検品利用されます。標準13桁と短縮8桁の二つのタイプがあります。

活用場面
▪ メーカーや卸業者倉庫での入出荷検品における商品特定

注意点
▪ 品番情報しか持たないため、消費期限などの在庫管理する上で必要な項目を、目視して記録する必要がある

ITFコード/GTINコード

物流では同一商品がまとまった単位で動くため、梱包単位のバーコードシンボルとしてITFコード(集荷包装用商品コード)が利用されてきました。メーカー側が商品内箱や外装ダンボールに予め印字していることも多く、太枠で囲まれた外見が特徴的です。このバーコードは梱包形態や入数を判別する識別コードとJANコードが組み合わさったもので、これを読み取れば、商品コードと入数情報を梱包単位で取得することができます。JANとITFは日本独自の規格でしたが、流通がグローバル化されGTIN(国際取引商品番号)コードが導入されて以降は、GTINへの移行が進んでいます。

活用場面
▪ 段ボールやケース単位で入出荷する際の一括検品(品番/数量入力、エラーチェック)
▪ バーコード不良など、読み取り困難な環境における検品入力(バーが太いため比較的読み取りやすい)

注意点
▪ 梱包荷姿毎にコードを把握する
必要があり、管理が煩雑になる
▪ JANコードとの違いが分かりづらく、読み間違えが発生する(ITFコードから数量決定している場合に在庫差異を生む原因となり得る)

GS1-128コード

JANやITFコードでは、製造年月日や製造ロット番号といった、在庫管理に必要なデータを持たせることができません。そこでよく使われるのが、GS1-128コードです。商品梱包情報のほかに製造日や賞味期限情報なども格納され、読み取るだけで商品の詳細データを取得することができます。業界全体で物流プロセスの合理化が進む流通品や医薬品などには積極的に利用され、製造のタイミングでマーキングされることも増えているようです。食肉業界の「食肉標準物流バーコード」や流通業界の「SCMラベル」など、情報をできるだけ多く持たせたい場合に使用されています。

活用場面
▪ SCMラベルによる一括検品(ASNデータと連携した梱包明細取得、エラーチェック)
▪ バーコード規格統一化が進んだ商品の情報取得や検品入力(入出荷、棚卸など)

注意点
▪ やり取りする情報が多い場合、追加で補助バーコードが規定されることもある(食肉業界など)
▪ 輸入品など、規格に沿わない形式のバーコードが印字されることがある

QRコード(二次元バーコード)

従来型の縦縞模様のバーコード(一次元バーコード)は、情報を詰め込めば詰め込むほどバーコードが横に伸び、大きな印字スペースや補助バーコードが必要になるという欠点がありました。この点、省スペースで大容量の情報を格納できるQRコード(二次元バーコード)は、管理する情報の多い物流業界で積極的に利用が進んでいます。QRコードの導入はメーカーや事業者によりけりですが、GS1-128コードよりさらに多くのデータを組み込めることから、データ活用による業務合理化のポテンシャルが最も高いバーコードと言ってよいでしょう。

活用場面
▪ 商品の情報取得や検品入力(入出荷、棚卸など)
▪ 製品のシリアル番号管理

注意点
▪ 読み取りに専用端末が必要

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です

輸入品のバーコード

輸入品に表示されている海外製のバーコードは、EANコードやUPCコード(北米のみ)と呼ばれます。そもそも商品バーコードはGTINとして世界標準のものなので、JANの代わりにEANやUPCコードがそのまま利用可能です。梱包単位のバーコードシンボルが利用できることもあります。

活用場面
▪ JANやITFコードと同じように利用可能

注意点
▪ 品番などのコードルールが日本と異なるため、事前にコード変換プログラムなどの準備が必要になる
▪ 海外側で準備されたデータへの信頼性に問題が残る

自社で発行するバーコード

自社管理ラベルバーコード

入荷した商品を自社独自の品番やロット番号を割り振って在庫管理したい場合、自社管理用のバーコードラベルを発行することで、のちの入出荷や棚卸検品・管理業務を合理化できるようになります。自社専用バーコードなので、必要なデータだけ効率的にシンボル化できるのが利点です。バーコード種はCODE128やCODE39、QRコードなど、利用目的に応じて開発ベンダーが選定してくれます。発行したバーコードラベルはモノや梱包外装に直接貼付したり、保管棚やバーコードブックに貼付して利用することもあります。

活用場面
▪ 入荷時点でバーコードが表示されていない商品の管理
▪ 独自のロット番号を割り振ったうえで、バーコード検品と在庫管理を行う場合
▪ 販促品、原材料、半製品など製品、商品以外の在庫管理

注意点
▪ ラベル(バーコード)データの作成、発行、貼付作業が発生するので、そのためのリソースが必要になる

PDラベル、SCMラベルバーコード

店舗仕分けなどが発生するサプライチェーン物流では、PDラベルやSCMラベルによるバーコード検品が効果的です。納品店舗情報のほか、パレットやラックに積み付けた商品梱包明細情報などもバーコード化し、荷札の役割と検品チェックの役割を担います。SCM全体で仕分けミスの抑制や入出荷業務の時短に繋がるため、自社が物流プロセスの上流に位置している場合はぜひとも活用したい施策です。

活用場面
▪ 店舗別の仕分け検品(商品梱包明細作成、納品先エラーチェック)

注意点
▪ ラベル(バーコード)データの作成、発行、貼付作業が発生するので、そのためのリソースが必要になる
▪ 読み取りに専用端末が必要

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