運送業の管理システムに必要な機能と、運送システム構築例

運送業界向け

「配車管理や日報管理では、Excelが手放せない」運送業では、IT化が進みづらい管理業務がいくつも存在します。アナログ管理には二重入力や人的ミスのリスクがあるほか、情報が分散していることで原価把握や粗利計算も困難になりがちです。そのような問題を解決するため多くの運送会社で取り組まれているのが、業務DX・運送管理システム導入です。この記事では、運送管理システムに必要な機能やシステム構築例を解説します。

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運送業に管理システムが必要な理由

人的管理・アナログ管理の問題

売上・請求管理や売掛・買掛管理などは基幹業務と呼ばれ、どの業界においてもシステム導入がいち早く進んだ領域です。しかし運送業においては、Excelファイルや人の脳みそで管理されているものが未だ多く存在します。例えば、注文と車輌/乗務員を割り当てる配車管理、車輌の発着地や運転/休憩時間などを把握する運行管理、ドライバーの業務実績報告である日報管理、整備コストなどを記録しておく車輌管理などです。

これらを個別にExcel管理する場合、同じ情報、たとえば運行指示内容や車輌番号を、異なるExcelファイルにそれぞれ入力しなければなりません。重複入力のムダだけでなく、そのぶん人的エラーのリスクが高まったり、人員交代で管理品質が落ちることも考えられます。1つの受注や車輌に関わる情報がバラバラの場所に存在するため、原価や粗利の把握に時間がかかるといったことも発生するでしょう。

2024年問題などで課題が顕在化

2024年問題などの外的要因は、アナログ管理の問題を顕在化させたと思います。2024年4月以降、事業を継続するには、売上水準を維持しながらドライバーの残業時間を年間960時間以下に抑えなければなりません。ほかにも円安やウクライナ侵攻などで燃料価格が高騰し、事業者は経費・利益管理を強化せざるを得なくなっています。

「しかしどうすれば良いかわからない」という担当者さまは少なくないのではないでしょうか。従来の管理体制、あるいは事業体制そのものを変えなくてよいのか、そのような課題に直面しているのが運送業界の現状だと言えます。

運送管理システムのメリットとは

これらの事業課題を解消するため多くの運送会社が進めているのが、業務DX(デジタルトランスフォーメーション)と言われる運送管理システムの導入・見直しです。システムによる情報一元化やITツールを活用した業務プロセス改善で、配車計画の最適化事務コスト削減収益性向上などを図ります。

ひとことに運送管理システムと言っても様々なパッケージソフトがあり、機能構成やシステム業務フローがまるで違うものも存在します。詳細は後述しますが、運送業における管理業務とそれに必要な管理システムは多岐にわたるため、機能の組み合わせ方・切り出し方に違いがでるのです。

運送管理システムのメリットを享受するには、システムを使う側がしっかり運用することが重要になります。そのためには、自社業務にあったシステムを選び、無理のないシステム運用フローが構築されていなければなりません。以降では、運送管理システムの主要な業務機能と、運用フローの組み立て方について解説していきます。

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運送管理システムの主要機能7つ

ここからは、運送管理システムの主要機能7つと、運用フローの組み立て方について解説します。すべての機能を1つのシステムに纏めることもあれば、一部は別のパッケージを使ってデータ連携を取る、といったケースもあります。コストや使い勝手の問題もあるので、どこまで1つのシステムに統合すべきかは一度ベンダーに確認するとよいでしょう。

①売上・請求管理

一般的な販売管理システムと共通する基幹機能で、運送業の場合は発着地や車建/個建種別など独自の売上情報が必要です。売掛・入金管理まで行い、会計ソフトと仕訳データ連携を行うこともあります。配送伝票発行などのオプション機能次第で業務効率が改善される可能性もありますが、あくまで結果を管理する機能なので、これだけで大きな業務改革は図れません。抜本的改善には、後述する配車管理や日報管理機能と連携し、確定処理だけで売上計上できるような運用フローがおすすめです。

②傭車・支払い管理

一般的な販売管理システムでは仕入機能と呼ばれますが、仕組みや運用フローはほぼ同じ。売上管理と同様、仕入・支払い実績の仕訳データ連携を行い、経理部門の負荷を減らす方法がよくとられます。こちらも結果を管理する機能なのですが、たとえば傭車依頼から入力運用をスタートさせると、依頼書の自動作成などの業務効率化が図れます。配車管理機能を用意し、配車計画の傭車分のみをデータ連携して傭車手配を半自動化させる運用フローだとなお良いです。

③配車管理

配車管理ではまず受注入力を行い(受注管理)、それぞれの注文に車輌または乗務員を割り当てながら、配車計画を作成します。よく見かける自動配車システムは、車輌と注文の割り当て・運行ルート作成部分をAIエンジンで自動化したものです。

必ず受注入力からスタートするので、Excel管理と比べると配車漏れリスクが減るほか、配車計画をガントチャートで視覚化することで、熟練配車マンへの業務依存も軽減されます。配車データをもとに乗務員や傭車先にボタン1つで運行指示をかけられると、業務フローが簡略化されて良いでしょう。乗務員作業のステータス管理まで行えば、簡易的な動態管理も可能です。

④運行管理

デジタコデータを管理するシステムとして、デジタコ機器とバンドル販売されることが一般的です。デジタコが記録する法定3要素などの走行情報だけでなく、運行管理システムとして、発着地や現在地、作業・休憩記録といった動態管理もできるようになっています。これらの運行管理データを日報管理機能と連携できれば、帰庫後に日報を1から作成する手間が省かれます。

⑤日報管理

運転日報への記載内容は、事業者ごとに異なります。たいていは、配車/運行指示内容または運行管理データと同じような情報を記載されていることと思います。いまでも手書き日報がよく使われますが、日報管理の抜本的改善には、配車管理や運行管理機能とデータ連携を構築するのがおすすめです。運行指示データを呼び出して有料道路などの追加情報を入力する、運行管理データから日報を自動作成するなど、ドライバー帰庫後の作業を減らす運用フローを考えるとよいでしょう。後続業務の効率化を図るため、日報(実績)データを売上管理機能に繋げることもあります。

⑥車輌管理

車輌管理は、車輌の状態を把握するだけでなく、車輌原価を捉えて利益率を改善させる目的でも行われます。車輌原価の把握が困難になるのは、車輌ごとの経費・整備情報がバラバラに管理されているからです。おすすめは、車輌データと日報・売上データを同じシステムで一元管理し、修繕費や保険料、日報情報などをその都度車輌番号に紐づけながら登録していく運用。車輌原価をリアルタイムに捉えられるようになり、売上ごとの粗利管理が容易になります。

⑦乗務員管理

乗務員管理には、勤怠や健康状態を含む労務管理、評価などの人事管理、さらにそれらをもとに賃金手当を計算する給与管理が含まれます。運送業では、ドライバーの勤怠・健康管理は点呼業務と一体化していたり、給与計算は運行実績に応じた手当計算が必要になるため、いかに二重管理を回避するかがポイントです。たとえば、勤怠は運行管理システムで記録する日報管理機能と給与管理ソフトを連携させて手当計算を自動化する、などの運用フローが考えられます。

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運送管理システムの構築例

運送管理システムを検討する際は、自社にあった業務機能と運用フローを組み立てることが大切です。ここからは、弊社で導入を行った実際の事例をもとに、運送管理システムの構築例を3つご紹介します。

構築例①受注配車管理システム

配車業務の改善に焦点をあてた運送管理システムです。配車入力後、受注・配車データをもとに、運行指示(自社ドライバー/傭車先)および帰庫後の実績入力を行います。売上と傭車に関するデータの重複入力をなくし、運送事務の効率化を図るのが狙いです。このケースでは、勤怠や給与計算といったドライバーの労務管理は既存のパッケージシステムを使い、データ連携を行っています。

運送管理システム概要図①受注配車管理システム

≪この運送管理システムのポイント≫
データの起点を受注入力にすることで、配車漏れなどのミスを防止
配車ボードで配車計画・作業ステータス可視化し、配車の誰でもできる化を図る

受注配車データをもとに運行実績入力を行い、売上/傭車管理に繋げる

構築例②日報管理システム

運転日報を軸に、売上や傭車管理を行います。日報管理と車輌管理を同一システム内で行うため、車輌原価の把握が容易になるほか、売上別/車輌別の損益が可視化されるのも特徴です。配車・運行管理機能まで設けるやり方もあれば、配車は専用ソフト(自動配車など)を利用してコストや使い勝手を最適化させる方法もあります。後者の場合、日報入力はデータ連携または手入力にて行います。

運送管理システム概要図②日報管理システム

≪この運送管理システムのポイント≫
日報機能を基準に、売上・傭車・運行経費・運行手当などの情報を一元管理する
車輌経費・整備入力まで同一システムで行うことで、車輌原価を見える化

上記により、売上/車輌単位での損益把握と事業改善が可能に

構築例③総合管理システム

配車・運行実績(日報)管理をベースに、売上・傭車管理、さらに勤怠管理まで行うシステムです。タイムレコーダーから出退勤打刻データを取り込み、事務所勤務者と遠隔地にいるドライバーの勤怠を一元管理します。勤怠や手当項目の二重管理をなくし、給与システムへの連携がシンプルになるのもメリットです。なお、メーカー在庫を保有する事業者さまには、在庫管理機能を設けることもあります。

運送管理システム概要図③総合管理システム

≪この運送管理システムのポイント≫
配車~売上/傭車管理および車輌/乗務員管理を、ワンストップで統合管理
打刻端末から出退勤データを取り込み、全従業員の勤怠管理を基幹システム上で行う

ドライバーの勤怠は運行実績・日報管理機能と連携し、ムダを省く

まとめ

運送業において、二重入力などの業務効率や原価管理改善の必要性は、今後ますます高まってくると思われます。ご紹介したように、運送管理システムを導入することで、配車計画の最適化・事務コスト削減・収益性向上などを図ることが可能です。しかしそれには、自社にあった業務機能と運用フローをしっかりと組み立てなければなりません。

この記事では、運送管理システムの主な業務機能として、①売上・請求管理、②傭車・支払管理、③配車管理、④運行管理、⑤日報管理、⑥車輌管理、⑦乗務員管理を解説させて頂きました。機能の組み合わせ方や最適な運用フローは、事業者ごとに異なります。記事内で解説した運送管理システムの構築事例などをご参考に、自社業務に本当に適した運送管理システム導入・業務DXを実現させて頂ければと思います。

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